本来のだんぼーるはうすに、いかにも突貫工事的な、やはりダンボールの扉がついている。
扉を開ければ、外ともつながっている、本館に比べたら若干こじんまりとした空間が広がっていた。
中には、テーブルと、同じながらもこちらの方が繊細な銀細工のワイヤー細工で組まれた籠に、今度はピンクの星の形をした飴玉が山積みになって入っている。
『防水ダンボール』なるものを入手した為に、実験的に改築工事を行ってみたらしい。
いかに防水といえど、劣化すれば建て替えを行うのだが、作った本人は満足感にあふれて、その事をすっかり失念しているもようである……
実際の部屋としては、若干のこじんまりさではあるが、人が二人とテーブルが一つある分には全く問題なさそうだ。
(話を聞き終えるとしばし沈黙した後)はぁ~、そっかー。ここで僕がラノベとかのイケメン主人公なら最高に気の利いたセリフを吐いて君の気持ちを変えられるんだろうけど、僕には無理だな。(もう一度ため息)
僕は人の気持ちがわからない人間だから推論でしか君が何をどう感じているかわからない。いや、他の人だって本当に何も言わずにわかりあうなんてのは無理だろう。
…そこで救われる価値が無いなんて決め付けないで、みんなに素直に意見を聞きなよ。どうせもう引き返す気が無いんなら、いっそどん底まで堕ちて全部無くしてからでもいいだろ?
あと救われる価値が無いって言うけど救うのは救う側の勝手だから。救いたいから救うの、お分かり?
そこで救いの手を取るか取らないかが問題なのであって。
でもさ、一つ聞いていいかな?神様のいなくなった世界を作るのはいいけど、じゃあそこで不都合な事が起こったらそれは誰のせいになるの?…それとも誰かのせいにするの?
(満面の笑みを見せられて赤面しつつ)いやまあ、受け取るだけで君が幸せになれるってんならいくらでも受け取るけど…。(時計を見て)おっと、こんな時間か。そろそろ僕は失礼するよ。(残ったアイスを食べきって)それじゃあまた。