本来のだんぼーるはうすに、いかにも突貫工事的な、やはりダンボールの扉がついている。
扉を開ければ、外ともつながっている、本館に比べたら若干こじんまりとした空間が広がっていた。
中には、テーブルと、同じながらもこちらの方が繊細な銀細工のワイヤー細工で組まれた籠に、今度はピンクの星の形をした飴玉が山積みになって入っている。
『防水ダンボール』なるものを入手した為に、実験的に改築工事を行ってみたらしい。
いかに防水といえど、劣化すれば建て替えを行うのだが、作った本人は満足感にあふれて、その事をすっかり失念しているもようである……
実際の部屋としては、若干のこじんまりさではあるが、人が二人とテーブルが一つある分には全く問題なさそうだ。
ふむ…(しばし考える)維都月。今日は特別に僕の好きな言葉を教えてあげよう。
「悪人正機」…漠然と救われたらいいと思って念仏を唱える凡人よりも大罪を犯したが罪を悔やみ、全力で救われたいと必死に念ずる悪人の方を仏は救うって意味。
まあ都合よく解釈して悪事を働いてからでも念仏を唱えれば地獄に行かないで済むって派手に暴れる連中が出てひどいことになったらしいけど。
…救われたいと願わなきゃ仏様だって救っちゃくれないんだよ。だから、自棄になっちゃあいけないよ。
まだ取り返しが付かないなんて誰が決めたのさ?
(ぬいぐるみを渡されて)え?これを?えーと、なんかもらうような事僕やったっけ?(色々と考える)
…あ。(家族以外の女性に初めて何かを贈ってもらったことに気が付く)
…あー、うん。ありがとうございます。(と、正座して恭しく受け取る)とても嬉しいです。