本来のだんぼーるはうすに、いかにも突貫工事的な、やはりダンボールの扉がついている。
扉を開ければ、外ともつながっている、本館に比べたら若干こじんまりとした空間が広がっていた。
中には、テーブルと、同じながらもこちらの方が繊細な銀細工のワイヤー細工で組まれた籠に、今度はピンクの星の形をした飴玉が山積みになって入っている。
『防水ダンボール』なるものを入手した為に、実験的に改築工事を行ってみたらしい。
いかに防水といえど、劣化すれば建て替えを行うのだが、作った本人は満足感にあふれて、その事をすっかり失念しているもようである……
実際の部屋としては、若干のこじんまりさではあるが、人が二人とテーブルが一つある分には全く問題なさそうだ。
ん? どうしてかな。
……少なくとも、私は『よいひと』なんかじゃないよ……」?
皆が探している巻物をテオとの交換条件の為に燃すような事をしているんだから(情けなさそうに笑いながら)
私は、ののこさんが神をやっていた時の、その自分の体一つ思い通りにならない世界が嫌いだった。
かといって、鴉の世界も好きではない。
人の人による不幸が来ても諦めのつく『かみさまのいないせかい』が作りたかった。
……でも。本当は分かっているんだよ。(俯き声のトーンを落して)
今のままなら、昔のらっかみ伝説の由来と同様に、世界はもれいびが居なくなり、前の通り猫とののこさんの下に戻るんじゃないかって。
もう、私のしてしまった事は、戻れない事は分かっているけれども──
あ、そうだっ。そう、丁度いい機会だから、今のうちに渡しちゃおうっ。
(突然に思い出したように、改装部屋のテーブルの上に置かれていた、犬と猫のぬいぐるみのうち救急箱を首元に携えた犬の方を相手に差し出して)
(http://rakkami.com/scenario/guide/470)お店でぬいぐるみ講座があった時に作ったぬいぐるみなんだけれども……良かったら、受け取って欲しいな。イメージして作ったんだよ。
こんな機会もう二度と無いかも知れないから……
今までずっとずっと渡せないままで来たままだったから、ずっと気がかりだったんだよ。
(そそ、と頭を下げて進呈するようにぬいぐるみを相手のほうに向けて)