本来のだんぼーるはうすに、いかにも突貫工事的な、やはりダンボールの扉がついている。
扉を開ければ、外ともつながっている、本館に比べたら若干こじんまりとした空間が広がっていた。
中には、テーブルと、同じながらもこちらの方が繊細な銀細工のワイヤー細工で組まれた籠に、今度はピンクの星の形をした飴玉が山積みになって入っている。
『防水ダンボール』なるものを入手した為に、実験的に改築工事を行ってみたらしい。
いかに防水といえど、劣化すれば建て替えを行うのだが、作った本人は満足感にあふれて、その事をすっかり失念しているもようである……
実際の部屋としては、若干のこじんまりさではあるが、人が二人とテーブルが一つある分には全く問題なさそうだ。
わっ!わ……!!
(聞き覚えのある声は、学校のクラスで毎日顔を合わせているのに一気に緊張を走らせて。
思わず、『い、いません!今は誰もいませんっ!!』と心の中で絶叫しかけてから。
流石にそれはダメだろうと挙動不審にあちこちに視線をめぐらせてから、深く深呼吸をして
)
う、うんっ!いますよ~っ。大丈夫ーっ。
(挙動不審極まりない仕草で、扉を開けて。
鴉と猫の一件以来、普段授業でもう顔も合わせられないような相手の姿を久方ぶりに見ながら。
周囲を気にしているようならば)
も、もし良かったら中へどうぞだよっ。暑いかもしれないけれども……ああ、でも夜だから少し涼しくなったかな。
(ガチガチに緊張しながら、中へと案内しつつクッションを勧めて)