本来のだんぼーるはうすに、いかにも突貫工事的な、やはりダンボールの扉がついている。
扉を開ければ、外ともつながっている、本館に比べたら若干こじんまりとした空間が広がっていた。
中には、テーブルと、同じながらもこちらの方が繊細な銀細工のワイヤー細工で組まれた籠に、今度はピンクの星の形をした飴玉が山積みになって入っている。
『防水ダンボール』なるものを入手した為に、実験的に改築工事を行ってみたらしい。
いかに防水といえど、劣化すれば建て替えを行うのだが、作った本人は満足感にあふれて、その事をすっかり失念しているもようである……
実際の部屋としては、若干のこじんまりさではあるが、人が二人とテーブルが一つある分には全く問題なさそうだ。
おお。邪魔して……………
(駆け寄る占い師に気がついて。すちゃっとヘッドホンを下げた途端、
ちょうど耳に飛び込んできた「月が綺麗ですね」に、「えっ」と目を丸くし)
…マジで?イヤその。そー来る?参ったな…。
(さる文豪の、ある英文の訳にまつわる逸話が思い起こされたらしく、
「そのように」受け止めたのか、照れたような困ったような顔を背けて。
あげく「そりゃーあたしもお嬢のコトはキライじゃねーし」だの
「キモチは嬉しいけど…しかしだな」だのとブツクサ。三つ編みいじいじ…)