本来のだんぼーるはうすに、いかにも突貫工事的な、やはりダンボールの扉がついている。
扉を開ければ、外ともつながっている、本館に比べたら若干こじんまりとした空間が広がっていた。
中には、テーブルと、同じながらもこちらの方が繊細な銀細工のワイヤー細工で組まれた籠に、今度はピンクの星の形をした飴玉が山積みになって入っている。
『防水ダンボール』なるものを入手した為に、実験的に改築工事を行ってみたらしい。
いかに防水といえど、劣化すれば建て替えを行うのだが、作った本人は満足感にあふれて、その事をすっかり失念しているもようである……
実際の部屋としては、若干のこじんまりさではあるが、人が二人とテーブルが一つある分には全く問題なさそうだ。
今夜は~、ここで~、一段落だよっ!
(重たかったペットボトルも半分以上減り、それを抱えて別室にお客さんがいないか確認して、残った焼きチョコとクッキーを食べよう!などと企んでいたところ、)
あ、お姉さんっ!!
(その姿を見かけて、嬉しそうに狭いだんぼーるはうす内を小走りで近寄って)
『こんばんは、月が綺麗ですね』
(今日は雨も無かった。事実月は綺麗だったが、外に出ていない茉菜にそれを知る術はない。
しかし、気分的にはこれだったのか、幸せそうに満面の笑顔でお約束の慣用句を)