本来のだんぼーるはうすに、いかにも突貫工事的な、やはりダンボールの扉がついている。
扉を開ければ、外ともつながっている、本館に比べたら若干こじんまりとした空間が広がっていた。
中には、テーブルと、同じながらもこちらの方が繊細な銀細工のワイヤー細工で組まれた籠に、今度はピンクの星の形をした飴玉が山積みになって入っている。
『防水ダンボール』なるものを入手した為に、実験的に改築工事を行ってみたらしい。
いかに防水といえど、劣化すれば建て替えを行うのだが、作った本人は満足感にあふれて、その事をすっかり失念しているもようである……
実際の部屋としては、若干のこじんまりさではあるが、人が二人とテーブルが一つある分には全く問題なさそうだ。
(だいぶ暗くなってから、こそっと戻ってきて。
でも気が向いて、わざと本館には行かないで、声もかけないで、こちらに)
……………まだ。居るみてーだな。
(ヘッドホンをしたまま静かに席について。チロチロとメモ書きに目を走らせ。
差し入れをざっと眺めて、即座に焼きチョコとクッキーを口に放り込んで。
あつかましくお茶をコップに注いで、タオルを手にとって、ひと息。
隣室の気配と、自分は嗅ぎ慣れた香りをうかがいつつ。目をつむっている…)