本来のだんぼーるはうすに、いかにも突貫工事的な、やはりダンボールの扉がついている。
扉を開ければ、外ともつながっている、本館に比べたら若干こじんまりとした空間が広がっていた。
中には、テーブルと、同じながらもこちらの方が繊細な銀細工のワイヤー細工で組まれた籠に、今度はピンクの星の形をした飴玉が山積みになって入っている。
『防水ダンボール』なるものを入手した為に、実験的に改築工事を行ってみたらしい。
いかに防水といえど、劣化すれば建て替えを行うのだが、作った本人は満足感にあふれて、その事をすっかり失念しているもようである……
実際の部屋としては、若干のこじんまりさではあるが、人が二人とテーブルが一つある分には全く問題なさそうだ。
文字読むの好き?るいりもご本好き。こないだ図書館行った、ともだちできた。みょんみょんの子。こんど日本語教えてもらう、とってもたのしみ
(倉前さんをじーっと見上げ)……何の本?るいりも読める?絵、ある?
(お菓子を仕分けするあやめさんに感心し)
色そっくり、でもちがいわかる?あいやーすごい、おかし鑑定士?かぼちゃとみかん、よく似てる。食べてみないとわからない。だからるいりも食べる。
占いいく?いってらっしゃい(ひらひらと袖を振り)
(蓮太郎さんに頭をなでられ恥ずかしそうに頬を染め)
……あやめ、さっきのひと?れんたろのおともだち?心配?
だいじょぶ、占い師いいひと。るいりにやさしくしてくれた、きっと親切。あやめも怖くない。だかられんたろも無事祈る、いい子でるいりと待つ。お行儀よくしてたらすぐむかえくる
説男、おしゃべり。おしゃべりな男は信用できない、叔叔がゆってた。でもるいりは信じる。お菓子くれた
……うん、るいりがんばって話す。日本語わからない時は絵日記見せる(ごそごそと一冊の日記帳をとりだす)
説男見る?(ページをぱらぱら開き、白くてもこもこの動物の絵を突きだす)これ、アルパカのふーちゃん。こないだ道をトコトコしてた。なでなでしたからご利益ある。
叔叔のお友達?(きょとんとし)……ルービックキューブ、るいり知ってる。動くサイコロ。こないだ叔叔にねだって教えてもらった。説男は叔叔の弟子?るいりの兄弟子?それとも弟弟子??
るいり、説男許す。つちのこは敵、でも説男はともだち。それにつちのこもなめこも味はおなじ……
……今のはヒミツ。バレたら大変。るいりと約束(あたりを窺い真剣な目で念を押す)
(背伸びして説男さんをなでなでしつつ)
説男はさびしんぼ。れんたろもさびしんぼ。さびしんぼっち?でもぼっちが集まればぼっちじゃない、だからだいじょぶ。るいりもいる、みんないる。みんなはおはお、あそべばいい。
……それでもさみしいのなおらないならだれかと半分こするといい。