本来のだんぼーるはうすに、いかにも突貫工事的な、やはりダンボールの扉がついている。
扉を開ければ、外ともつながっている、本館に比べたら若干こじんまりとした空間が広がっていた。
中には、テーブルと、同じながらもこちらの方が繊細な銀細工のワイヤー細工で組まれた籠に、今度はピンクの星の形をした飴玉が山積みになって入っている。
『防水ダンボール』なるものを入手した為に、実験的に改築工事を行ってみたらしい。
いかに防水といえど、劣化すれば建て替えを行うのだが、作った本人は満足感にあふれて、その事をすっかり失念しているもようである……
実際の部屋としては、若干のこじんまりさではあるが、人が二人とテーブルが一つある分には全く問題なさそうだ。
あっ…………その、お邪魔して、すみません……(慌てている維都月さんに自分もおろおろと)
…………学生さん、でしたか…………、本当に、お忙しいところをすみません……お、お構いなく。
(駆け寄ってきた皆口さんに、心なしか緊張を緩めて)
……こんにちは。…ええと……はい、その、噂で………気になっていたので。
…表だけ……(楽しそうな皆口さんに、口元を緩めたのを手で隠しながら)
(三夜さんに声をかけられてびくりと)
………あ、はい、…いえっその、か、看板とかそんな大層なものでは………(慌てて手を振り否定)
………いや、ええと、もちろんです。……その、昔から……、お世話になっております………。
(ぺこり、と頭を下げ)
(三夜さんと知り合いなのかと問われて)
………ええと………そうですね……。
………旧市街だと、なかなか……地域の結びつきが強いですので………。
(日暮さんをじろりと見やり、会釈)
…………別に、そんな………昔から、愛想のない、可愛げのない子供だったと……思いますけど………。
(戻ってきた維都月さんに慌てて身を引いてレジャーシートの場所を空け)
……………お、お疲れ様です………………大丈夫ですか…………?
(おろおろとするものの手を貸せないまま、レジャーシートの傍に立ち尽くしている)