本来のだんぼーるはうすに、いかにも突貫工事的な、やはりダンボールの扉がついている。
扉を開ければ、外ともつながっている、本館に比べたら若干こじんまりとした空間が広がっていた。
中には、テーブルと、同じながらもこちらの方が繊細な銀細工のワイヤー細工で組まれた籠に、今度はピンクの星の形をした飴玉が山積みになって入っている。
『防水ダンボール』なるものを入手した為に、実験的に改築工事を行ってみたらしい。
いかに防水といえど、劣化すれば建て替えを行うのだが、作った本人は満足感にあふれて、その事をすっかり失念しているもようである……
実際の部屋としては、若干のこじんまりさではあるが、人が二人とテーブルが一つある分には全く問題なさそうだ。
……血筋って、どんなに頑張っても逃げられないものだよね……(うっすら遠い目をしながら彼方を見つつ)
成功した起業屋さんや政治家さんに多い気配。お父様もそうだもの。もう、一種の呪いだよね。(冗談めいて言いながら)
うん、カードには人間関係的には切る機会についても触れられていたのだけれども、加瀬くんその人にお世話になっている率が非常に高そうだったから、デメリットの方が大きいと思って差し引いてみたよ。
良かった、少しでもお役に立ったならこの上なく幸いだよ。……アドバイスが対人のものとは思えない辺りが加瀬くんの人間関係なのかもしれないねぇ……(妙に切なくも納得した様子で頷きつつ)
(テーブルの上に置かれた見るからに高級そうな品を目を少し見開いて確認しながら)
紅茶……嬉しいなぁっ。うんっ、ありがとう!
……昔みたいに使用人がいれば、ご厚意の分だけ完全に美味しく頂けるのになぁ……(しゅん)
でも、アイスティーなら私にも淹れられるかも知れないっ!頑張って美味しく頂くよ。
今はお返しはこれしかないけれども、甘味が嫌いでなければ一つどうぞっ。
(装飾銀のワイヤー細工の籠の中から、一つのピンクの星の形の飴を両手の指でそっと差し出して)