本来のだんぼーるはうすに、いかにも突貫工事的な、やはりダンボールの扉がついている。
扉を開ければ、外ともつながっている、本館に比べたら若干こじんまりとした空間が広がっていた。
中には、テーブルと、同じながらもこちらの方が繊細な銀細工のワイヤー細工で組まれた籠に、今度はピンクの星の形をした飴玉が山積みになって入っている。
『防水ダンボール』なるものを入手した為に、実験的に改築工事を行ってみたらしい。
いかに防水といえど、劣化すれば建て替えを行うのだが、作った本人は満足感にあふれて、その事をすっかり失念しているもようである……
実際の部屋としては、若干のこじんまりさではあるが、人が二人とテーブルが一つある分には全く問題なさそうだ。
(棒読みの発声に挙動不審にあわあわとうろたえつつ)
いっ、いえっ! 違うんですっ!!
私、7月の上旬に他の人に告白をしてお断りしてもらったんですっ。
だ、だから、灯くんをそのように思ってはきっとご迷惑だと思うんですっ!
お話は見た所感であって、嬉しそうに話しているのは実際に目にして嬉しいからで……!(言い訳にしては何かおかしい違和感を感じつつも慌てて言葉を並べ立てて)
向こうだってご迷惑ですっ。振られたばかりの人がそ、もしもそういう意味で告白したらきっとものっ凄くご迷惑です!!
灯くんにも選ぶ権利があるんです!!
(最後の言葉を、全身でテーブルで叩きつけるように置きながら。ちょっと息を切らしつつ)
(ただのフリーターという言葉にこくこくと必死に頷きながら)
ししじま、いちこ……ししじま、いちこ……では、市子お姉さんですねっ。(嬉しそうに笑い掛けて)
(相手のこちらを見る眼差しに心当たりが全く無いとばかりに不思議そうに首をかしげつつ)
はっ!もう夏が終わる!! 学校の夏休みの宿題は何とかするとして、市子お姉さんから出された宿題の方が大変そうです!
はいっ、夏休みの宿題を考えて是非……う~ん、30点は欲しいなぁ(汗)
はい!(去り行く背中に返事をつけた後で立ち去った後、声を小さくしつつも勢いはそのままに)
『無理はするけれども無茶はしませんっ!』……だって、来て下さる方がいるだけで、こんなに幸せなんですからっ。だから、当たらないかも知れないけれどももっと頑張りますっ!
(決意を堅く、元のだんぼーるはうすの方へ戻っていく)