本来のだんぼーるはうすに、いかにも突貫工事的な、やはりダンボールの扉がついている。
扉を開ければ、外ともつながっている、本館に比べたら若干こじんまりとした空間が広がっていた。
中には、テーブルと、同じながらもこちらの方が繊細な銀細工のワイヤー細工で組まれた籠に、今度はピンクの星の形をした飴玉が山積みになって入っている。
『防水ダンボール』なるものを入手した為に、実験的に改築工事を行ってみたらしい。
いかに防水といえど、劣化すれば建て替えを行うのだが、作った本人は満足感にあふれて、その事をすっかり失念しているもようである……
実際の部屋としては、若干のこじんまりさではあるが、人が二人とテーブルが一つある分には全く問題なさそうだ。
(…気づいてねーのかこのコは。ここまで掴んでて。さもなきゃ分かっててやってんのか…?)
(「どーも」と差し出された水に口をつけつつ、その「たかが」に思いをはせつつ。
彼の話題になれば「平和ねえ」とにやつきながらも、きっとそうなんだろうと優しい気持ちになり。
主語を欠いた「告白」が思いのほか明後日の方角を向いていたことについては…)
ははっちげーって。「告白」したのはお嬢。つまりライバル関係にあんのは…そーゆーコト。
だってお嬢さっきゆったじゃんかあたしにさ。コンビニ行く前にさ。「月が綺麗ですね」って。
モシカシテアレハウソダッタノカシラーヒドイワーコレジャアタシノホウガピエロダワー(ウザく棒読み)
なんつってな。仮にあたしにソッチの気があったって。…イヤモチロンねーけど。
ンな嬉しそうにアイツのハナシされてる時点で敗北は必定\(^o^)/ってのがまー…「結果」?(くすりと)
い・つ・つ・き…まな。マナか(確かめるように、丁寧に発音)
…なんか。魔法みてーな名前。お嬢にぴったりだね。
あたしはイチコ。獅子島、市子。ただのフリーター。ただのフリーター(強調)
そしたら…マナ。今度遊びにきなよ。昼間置いてった「荷物」の中に住所(と連絡先)書いてあっし。
ソコでならゆっくり話せる。
猫と。鴉と。ソレに………「あんた」のコト(ようやく顔を。「中」を覗き見るような目を。向けて)
質問にはそのときに。っとそーだ。マナも忘れんなよ「夏休みの宿題」。…お互い答え合わせってワケだ。
じゃー…またね。(背中を向けて、「ムリすんなよ」と言い残して、静かに退出…)