本来のだんぼーるはうすに、いかにも突貫工事的な、やはりダンボールの扉がついている。
扉を開ければ、外ともつながっている、本館に比べたら若干こじんまりとした空間が広がっていた。
中には、テーブルと、同じながらもこちらの方が繊細な銀細工のワイヤー細工で組まれた籠に、今度はピンクの星の形をした飴玉が山積みになって入っている。
『防水ダンボール』なるものを入手した為に、実験的に改築工事を行ってみたらしい。
いかに防水といえど、劣化すれば建て替えを行うのだが、作った本人は満足感にあふれて、その事をすっかり失念しているもようである……
実際の部屋としては、若干のこじんまりさではあるが、人が二人とテーブルが一つある分には全く問題なさそうだ。
(シュークリームの一個目を食べ終わりながらウェットティッシュで手と口を拭きつつ)
…今でも充分な位、好き勝手ですけどね。でもきっと、これから先、より過酷になりそうですから、大変です。
……それでも、私一人では出来る事はたかが知れていると、実感していたばかりですから(後悔の無い自業自得の出来事を小さく笑いながら)
ん? 『まるで……』? 何でしょうっ。
は…っ!! 喉にシュークリーム詰まりましたかっ!!
(慌てふためきながら、頂いたお水を紙コップに注いで差し出して)
ああっ、シュークリームの山が……! く、崩れてしまいますッ!(しかし見ているだけで何も出来ず、その様子を言葉とは裏腹に目を輝かせながら見守って)
はいっ、夜帰るのが遅いから、会ったことがあるんですっ。
──授業中、寝てばかりいるんです。だから授業中にお昼寝しているところを見ると『平和だなぁ』って、思えるんですっ。
(とても嬉しそうに語りつつ)
こ、「告白」っ!(目をぱちぱちとさせて)
……ま、前に恋愛運占った時があったんですっ!結果は『出来るだけ早く急げ』だったんですけど、本当にそういう人を探すなら急ぐなんて無茶じゃないかなって思ったんですっ。
だから凄い曖昧になってしまって……
お、お姉さん、その結果は……?!(告白が恋愛ごとだと疑っていない挙動不審)
(名前を問う声に、ここで嘘もつけるんだと思い至りながらも、改めて)
『維都月 茉菜(いつつき まな)』と。言います。
お姉さんのお名前も教えてもらって良いですか?
(こちらも、改めて改まった様子で尋ねて)