本来のだんぼーるはうすに、いかにも突貫工事的な、やはりダンボールの扉がついている。
扉を開ければ、外ともつながっている、本館に比べたら若干こじんまりとした空間が広がっていた。
中には、テーブルと、同じながらもこちらの方が繊細な銀細工のワイヤー細工で組まれた籠に、今度はピンクの星の形をした飴玉が山積みになって入っている。
『防水ダンボール』なるものを入手した為に、実験的に改築工事を行ってみたらしい。
いかに防水といえど、劣化すれば建て替えを行うのだが、作った本人は満足感にあふれて、その事をすっかり失念しているもようである……
実際の部屋としては、若干のこじんまりさではあるが、人が二人とテーブルが一つある分には全く問題なさそうだ。
(相手が笑って誤魔化しながら2つ目をたいらげたあたりまで黙って聞き…自分も次のにかじりつく)
…っとに優等生だなお嬢は。そー。「仕方ない」。
「役割」でがんじがらめになってるヤツのコトを「神」っつーの(もくもく)
で連中がツイてねーのは自我があるコト。情って言い換えてもいーがヒトの情とは相容れない。
矛盾してるんよ。存在が。「役割」ってのは「機能」。だしマットーすんのに「情」は要らん。
…テメーでテメーの足引っ張ってんのさ。おかげで不確定要素だらけ(むしゃむしゃ)
だから間違うなんてしょっちゅーで…(ごくん)…そのたんびにヒトは振り回される。
ソレこそ。ソコらへんウロウロしてるクソナマイキな猫や鴉と変わんねーよあんなの。
けど…もし(水をぐびりとやって口をぬぐい、ふぃーっと長めに息を吐いて)
もしそーじゃなかったら。この世はもっとヤツらに好き勝手されてんだろーね。今ごろ。
しかしナンだな。お嬢はまるで………(口をつぐんで目をそらす)………イヤ。なんでもねーし。
…カネなら問題ねーよ食いたいだけ買ってきただけだし。食いたいだけ食いなって。
(積み木崩しならぬシュークリーム崩しに集中してお代のことは上の空。
せっかくなのでお嬢が辞した中腹の端っこをそーっと摘んでじわじわ引っ張り出そうと…)
…そーか来たか。
ってナニ?来た?(…したけどつい力んで)知り合い?もしかして同じクラスとか?ってあーあ…(ばさばさ崩壊)
ふーん…(けど、幸宿る顔をみて安堵の微笑を浮かべ)…ライバル登場ってワケだ。
こりゃー参ったなー。ついさっき「告白」されたばっかなのになー(ククっと笑い)
(…なんの因果だ。よりにもよって…ふん。めんどくさい性分だよなお互い。ナンギなこった…)
ヤツがなに言ってったのか知らんが…んん?(本館の声に気がついて、片眉を上げる)
…やれやれ。どーやら込み入ったハナシするにゃーちーとっぱかし日がワリーみてーだね。
(前のものと違う、でもやっぱりボロいズタ袋にシュークリームをいくつか放り込んで席を立つ)
――お嬢。名前…教えて (なぜか顔を背けて。相手を見ないで。でも、常日頃の粗野な声色ではない)