本来のだんぼーるはうすに、いかにも突貫工事的な、やはりダンボールの扉がついている。
扉を開ければ、外ともつながっている、本館に比べたら若干こじんまりとした空間が広がっていた。
中には、テーブルと、同じながらもこちらの方が繊細な銀細工のワイヤー細工で組まれた籠に、今度はピンクの星の形をした飴玉が山積みになって入っている。
『防水ダンボール』なるものを入手した為に、実験的に改築工事を行ってみたらしい。
いかに防水といえど、劣化すれば建て替えを行うのだが、作った本人は満足感にあふれて、その事をすっかり失念しているもようである……
実際の部屋としては、若干のこじんまりさではあるが、人が二人とテーブルが一つある分には全く問題なさそうだ。
ええっ! お、お金が払えない……!
(衝撃を受けつつも、目の前に並べられたおにぎりとお水に目を輝かせて。お水を飲みながらおにぎりを一つ勢い良く大きく一口齧って飲み込みながら)
……(少し虚空を眺めつつ)神様も、間違うんでしょうか。
寝子島は不思議なところですから、神様だって見えるんです。
自分も少し見てきた世界では、カミサマの猫も鴉も方向性が違うだけで、同じでした。
自分の目的を、まっとうするだけのイキモノでした。
そこには、方向性が違うだけの、間違いようの無いレールが引かれていて、そこに沿って走っている。それだけのイキモノでした。
そこには、人の情も何もない。でも……そういうイキモノならば、仕方ないのかもと思います。
(手に持つおにぎりに目線を置いたまま、とつとつと呟くように言葉を零して)
あはは、鬱々しくなっちゃいましたね、すみません…!!
(慌てて誤魔化すように手を振ってもう片方の手で持っていたおにぎりをぱくりと)
……シュークリーム、中段から抜いたら崩れますかね……?
(シュークリームの山から敢えて下の方にあるものを敢えて抜きたいという誘惑に駆られつつ我慢。一番上にあるシュークリームを取って)
でも、お姉さん。いいんですか? こんなに沢山あるのに本当にお金……
(そう言いながらも、シュークリームの袋を開けて、もそもそと食し始め。
「お節介なピエロ」と聞いてその手を止めて、齧っていた分を飲み込みながら)
「お節介で、夜回りをして昼間に寝ているピエロさん」なら、既に来訪済みです。
心のどこかで絶対に来るだろうなと待ち焦がれていたから、本当に来てくれて嬉しく思いました」
(とても幸せなものを語るような瞳で、僅かに下方向に目線を落としながら)
そうだ、言われた事があったんでした!
お姉さんは、
「猫が『自分の世界だ!』と言いながら、ろくな説明もせずに、危険な場所に人を駒の様に戦場に送り込む無慈悲な世界」と
「鴉が『誰も彼もが自由な世界』と自由を謳って、皆の自由が重なってきっと混沌となりそうな世界」
……どちらが好きですか?
『ちなみに猫の世界は完成すると、今年の4月より前の世界と同じになります。鴉は未知数です』
(なぞなぞを出すような仕草で人差し指をぴっと立てて問い掛けてみて)