ダンシングで人類愛な祭りの準備｜リアクション

ダンシングで人類愛な祭りの準備

【ダンシングで人類愛な祭りの交渉〔八神修の場合〕】

　一方、八神修と蜂矢時生はポスターのイラスト制作を続けていた。
　と、そこで修がふと何かを思いだしたように席を立つ。
「おっと、そうだ。蜂矢、悪いが少し中座する。何個か試しにデザインをつくっておいてくれ」
「……ん？　ああ、それは構わないけど。どこに行くんだい？」
「ちょっと職員室に、な」
　修はそう言って、職員室へと向かった。扉を開けて中に入り、まず声をかけたのは実行委員会顧問の久保田教諭だ。
「久保田先生、少しいいですか？」
「あら、八神くんね。どうしたの？」
「じつは新聞部と射撃部で合同の出し物をやりたいので、講堂の使用許可が欲しいんです」
「……講堂、かぁ。うーん。ごめんなさい。悪いんだけど、私の一存では確定的な許可は出せないの。ただ先生方もみんな精一杯協力してくれると思うから、たぶん大丈夫だと思うわ」
「……そうですか。いえ、わかりました。それで充分です。それと二、三のお願いがあります。まず校庭や教室だけでなく、体育館や武道館等、学校全体を会場として開放したいんです。それから寝子高以外の生徒も自由に参加できるようにして欲しいんです。学校と地域との交流にもなると思うので」
「それも私の独断では何とも言えないわね。ただ理事長や校長先生にも話はしてみるわ。それから地元の人に参加して頂くことは何も問題ありません。寝子高生だけでなくて、寝子島の人達みんなが楽しめるお祭りを目指しましょう」
　美和がやる気を鼓舞するように言うので、修も力強く頷いてみせる。
「はい。実行委員として、一人の寝子高生として、やれるだけのことをやりたいと思っています。では、ありがとうございました」
　そうして、修は職員室を後にし、ポスター制作を続けている時生のもとに戻るのだった。