ダンシングで人類愛な祭りの準備｜リアクション

ダンシングで人類愛な祭りの準備

【ダンシングで人類愛な祭りの実行委員】

　同じ頃。
　寝子祭実行委員のアジトでは実行委員長の壬生由貴奈の音頭で、本日の会議が行われようとしていた。
「はぁい、みんなぁ、注目～」
　雑談ムードになっていた実行委員のメンバー達の注目を集める。
「さぁ祭りまではまだ時間があるけど話し合いは今からしっかり進めていかなくちゃだよ～」
　由貴奈はパンと手を叩くと相変わらずの眠たげな顔でまずは金券について決定するように話をまとめていく。
「う～んと、昨日は確か金券の単位でみんな盛り上がったのよねぇ」
　と、早坂恩が長い三つ編みを弄びながら記憶をたどるようにして言う。
「ですねー」
　と、ゆったりとした口調で応じたのは倉前七瀬。
「僕も含めてほぼ全員が恩の提案した『にゃっぽ』推しでしたけん、ほとんど満場一致による可決だったと記憶してます」
　七瀬が確認をするように面々を見まわすと誰もが『異議なし』というようにコクコクと頷いて、同意をしめす。
「うんうん。そうだったよねぇ。にゃっぽ。いい響きだよねぇ、にゃっぽ。じゃあ今日はそのにゃっぽのデザインや単位、配布の方法を決定していくということで――ふぁいにゃるあんさぁ？」

『ふぁいにゃるあんさぁ！』

　一同が声を合わせて応じる。今日も寝子祭実行委員はノリが良い。

　と、そんなノリノリの一行に、その日、新たな参加希望者が姿をみせる。

「あ、あのっ！」

　がらり、とアジトの扉を開けて現れたのは１年６組のマリベル・ロイスだった。

「ウチも実行委員に混ぜてもろてええですかっ？」

　突然の闖入者に、一瞬どよめくアジト。
「誰だ？」
　なんて声も聞こえて、マリベルはまだ自分が名乗ってもいないことに気づいて「あっ」と顔を赤くする。
「も、申し遅れましたっ！　ウチ、１年６組のマリベル・ロイスいいます！」
　ぺこり、とマリベルが頭を下げるとその動きにあわせてふわりと金色の髪が舞う。
「ウチ、このまえの選挙で選管のお手伝いとかして、もっとなんかのイベントで学校のみんなの役に立てたらええなって思ってて――」
「うん、もちろん歓迎するよぉ」
　眠たげに笑って、マリベルの手をとったのは由貴奈だった。
「仲間は一人でも多い方がいいもんねぇ～。みんなもいいよねぇ？」
『異議なし！』
　由貴奈の言葉に満場一致で新たなる委員の参加が可決される。
「あ、ありがとうっ！　ウチ、頑張るからなっ！」
　ぱぁっと表情を明るくするマリベルを温かい拍手が包み込む。
　こうして新戦力を加えつつ、ダンシングで人類愛な祭りの実行委員会会議が始まる。