もぎたて☆フレッシュ！　～どんぐり農園の愉快な果物狩り～｜リアクション

もぎたて☆フレッシュ！　～どんぐり農園の愉快な果物狩り～

「ミラクルレモンの味、とくと堪能しろっ！」

　檸檬は笑う。これで、自分たちの勝利は間違いなしだ！
「まあもうすぐ夕方だから、どうでもいいんだけど、せっかくだからね」
「……」
「あと檸檬くん、協力しておいてこんなこと言うと怒られそうだけど」
「……」
「実は僕、生で食べるなら檸檬より蜜柑の方が好きなんだよなあ」
「……望春……」
「あ、林檎も好き。っていうか、基本果物ってなんでも美味しいよね」
「……」
「この戦いって、決着つくのかな」
「……望……」
「あとまあ、さっきみたいなノリも、もうそろそろいいかなって」
「……」
「まあ、檸檬君がやりたいんなら、付き合うけどさ」
「……」

　小気味良くポキポキ心を折る望春。
　このような直言をしてくれる友人はありがたい。
　ただ、合体必殺技の最中はやめてほしかった。　

「でも、繰り返しになるけど、檸檬君のその恰好は、なんていうか、さ」
「格好は、ジロジロ見なくていいっ！！」

　しゅー。ちょろろろ。

　水の切れた如雨露のように、めっきり勢いの弱まるミラクルレモン。
　釈然としないながらも、みちるは蜜柑で二人を吹っ飛ばした。

　酸っぱすぎて、生食に適さないレモン。
　しかし、その酸味がなくなれば、レモンではなくなる。
　いまいちミラクルフルーツがマイナーなのは、その辺に問題があるのかもしれない。
　ちなみに、ミラクルフルーツは、蜜柑にも林檎にも効果がある。

　魔女っ子姿のまま倒れる檸檬を見て、みちるは感慨を覚える。

　レモンを貫き、レモンのままに彼が戦ったら……。
　あるいは、立場は逆だったのかもしれない。

　――蜜柑が勝ったけど、どの果物も美味しいと思う。
　ドングリの精がつぶやいた。
　初めから決着はついていたのかもしれない。

「果物はどれも、ナンバーワンでオンリーワン……」五月が総括する。「どんなに種類が多くても、食べておいしいと思う人がいれば、一番だと思いますよ」
　私は、柿だと思います。ふっふと笑って、柿の手を突き出して見せた。
　

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