中学生も中間テストざますざます！｜リアクション

中学生も中間テストざますざます！

○バスケとメンダコ

「身体動かしたい……ずっと机に向かってたもん……」
　一夜漬けでふらふらになりながらも、須崎蒼花のバスケへの情熱は衰えを知りませんでした。
　バスケットボールを持って、いつもの公園に向かいます。
　バスケットゴールがあるその公園は、平日の夕方はあまり人が来ない穴場でした。
　軽く体操をした後、蒼花はドリブルを始めます。
　敵に囲まれるイメージを頭に浮かべながら、右に左にフェイント。
　少し遠目からシュート！　跳ね返ったボールをジャンプしてキャッチすると、またドリブルをはじめます。
　只管、練習・練習・練習。

「ふぅ、結果はさておき楽しく出来た！」
　多喜美律は、テスト勉強のみならずテスト問題も、大好きなメンダコが出してると想像して張り切ったのでした。
「帰りに手芸雑貨店に寄ってあみぐるみの材料を買おうっと」
　そう思って雑貨店に向かう途中に、その公園はありました。
「あ、誰かバスケやってる……」
　セミロングの茶色の髪をなびかせ一心にドリブルする少女は、背は美律と同じくらいでしたが大人っぽく見えました。
「あの人もテスト終わったのかな」
　親近感を感じつつ、美律は手芸雑貨店に向かいました。
「勉強中に想像したあのメンダコちゃん達を作るの！　まずはどの子を作ろうかな～」
　さまざまな太さや色合いのの毛糸にボタン、フェルト、手芸店の中は色とりどりの材料でいっぱいです。
　これから大好きなあみぐるみを作ろうとする美律にとっては宝の山です。
　イメージぴったりのものを作るにはどれを選ぶべきか、迷いどころです。
「あ、このパーツいいかも～♪　あの子はこの毛糸で……」
　テストから開放され、我慢していた趣味のあみぐるみ制作に思う存分ウキウキする美律でした。

　蒼花がふと視線を感じて振り返ると、ショートボブの少女が去っていくところでした。
「あの子もテスト終わったのかな……」
　楽しげな様子に、なんとなくそう思います。
（……いつもこんな感じで私は本当に高校にいけるのかな……がんばらなきゃ……）
　汗をぬぐいつつ、蒼花はふと思います。前回も同じ事を言ったような気がするのですが。
「……そういえば、兄さんに何かお菓子でも買っていこうかな……勉強教えてもらったし……何がいいだろ」
（沢山食べるから大袋でいっか……）
　テストを終えた達成感と身体を動かしたすっきり感を感じつつ、夕日の中蒼花は帰っていきました。

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