中学生も中間テストざますざます！｜リアクション

中学生も中間テストざますざます！

○牧場で

「みんなテストどうだった？　バニーは国語の他は自信あるー」
　ウェーブのかかった長い赤い髪に青い目の、バニー・オークレイはテスト後の教室で言いました。
「国語も、うちの牧場に来てる高校生のバイトくんに教えてもらったから赤点は回避出来てる予感」
「彼氏が教えてくれるの？　いいわねー」
　クラスメイトに冷やかされ、バニーは笑って首を振りました。
「ノーノーそういうんじゃないよ。いい人だけど馬もまだ乗りこなせないんだから。バニーのいい彼氏（いいひと）にはなれないわねー」
　
「ただいまー　ハイパパ」
　星ヶ丘にあるオークレイ牧場。バニーは私服に着替えて父の元へやってきました。
「おかえり、テストは今日までだったね。どうだった」
　厩舎の入り口で、父親は１人娘のバニーを笑顔で迎えました。
「そう、テスト終わったわ。ジャパニーズ国語もバイトくんに教わったから今回はパーフェクト。自信あるわ」
「それは良かった」
「全部いい点だったら新しいブーツ買ってくれる約束忘れてないわよね。イヤーたのしみにしててね」
　ウィンクしながらサムズアップするバニー。
「ああ、忘れてないとも、楽しみにしてるよ」
　苦笑まじりに父は言う。
「そうそうバイトくんは？」
「ああ、牧場にいるよ。国語を教えてもらったんだったな。お礼を言わなきゃな」
「イエス、勉強教えてもらった。お礼？　ちゃんと言ったよバニー」
　バニーは口笛で愛馬の白馬シルバーターゲットを呼び、ぱっと飛び乗って、そのまま走り出しました。
「テストも終わったしおもいっきり羽根をのばしたいわね」

　牧草の香りを胸いっぱいに吸い込んで愛馬を走らせ、バニーはバイトくんを探します。
「ハイプライベートティーチャー！」
　牧場の片隅で馬と一緒にいた彼に、バニーは声をかけました。
　ティーチャーと呼ばれ戸惑う彼に笑顔で答えます。
「いいじゃん。キュートな中学生に先生なんて呼ばれることないでしょ？　サービスよサービス」
　いつの間にか日が落ちかけていました。
「テストはおかげさまでうまくいったと思うわ。サンクスありがとね。そっちは？」
　どういう意味か測りかねる彼に、クスッと笑いながらバニーは答えます。
「高校の英語くらいならバニーが教えてあげられるよ」
　残念ながら高校のテストもすでに終わっている、とバイトくんは答えました。
「そっちもテスト終わったんだ。お互いおつかれさまだね。じゃ久しぶりに乗馬で競争は？」
　同意を聞くと、バニーは彼の準備を待って馬を並べました。
「夕陽に向かって、レディー、ゴー！」
　２人は同時にスタートを切りました。
「お、ちょっとさまになってきたわね。けど負けないわよ。ハイヨーシルバー！」
　久しぶりに夕陽の中を思い切り駆けるバニーは、テストの煩わしさから開放され自由に胸を躍らせていました。

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