【星幽塔】薄闇よりの挑戦状｜リアクション

【星幽塔】薄闇よりの挑戦状

起：時間との戦い、始まる？

「ようは、宝探しなんだな！　そのオーブっていうのを見つけて壊せばいいんだな？」
　東条あんずが、ぐっ、と拳を握り締めて言う。彼女は騎士の光によって召還されたゴールデンレトリバーに跨っている。犬はあんず同様目を輝かせており、あんずは「ラフィ、匂いで物とか探せたりするのかー？」と問いかけた。
　ラフィはふんふん、となにか匂いを探っているようだった。
（もしかして、これはいけるのか……？）
　手ごたえを感じたあんずだが、これが上手くいく……後に。

　最初に床に目をやったのは来島アカリだった。彼は床に落ちていたコインを拾い上げると、懐から１枚のコインを取り出した。過去に星幽塔内で拾ったもので、十二星座のマークと女性の横顔が描かれている。
　不思議に思いながら２枚を比べてみると、微妙に似ているような気がした。
「これって、同じやつ？」
「ちょっと見せてくれる？」
　そう言ったのは、同じコインを拾っていた恵御納夏朝。彼女は、自分が持つコインとも見比べ、２人は益々似ているような気がした。
　アカリは持っていた５枚のうち２枚を鴻上彰尋と獅子目悠月に手渡すと２人は大事に握った。
「十二星座と……この女性は？　この塔と関連があるとすれば十二星座だな」
　悠月がコインを光にかざしながらそう言えば同じようにコインを持つ御剣刀も覗き込み、先ほど遭遇したエリオナイトの事を思い出す。
「この横顔とエリオナイトって似ているのかな？」
「いや、どことなくだけどステラに似ている気がする」
　刀の呟きに答えたのは、静かに観察していた鮫ノ口礼二郎。彼はついでに松明の材料になるような物を見つけ出しつつも、それとなくぐったりするステラの顔を見た。血の気が薄れた顔はとても辛そうである。
　桜庭円は、ふらふらと漂うステラに手を差し伸べる。
「ステラちゃん、大丈夫？　負ぶった方がいいかな？」
「お願いしたいの～」
　ステラは力の無い声で頼み、円は頷いて彼女をおんぶした。手に触れると、僅かに冷たい。これは早く何とかしなくては、と円は考えた。
　ステラの事を心配しながらも、彰尋は女性の周りに刻まれた十二星座の模様をじっ、と見る。
「今までに出会ったアステリズムと、来島さんから貰ったコレから推測するに、１２人で１２星座が該当する筈だ。死者を蘇らせる事もできたというへびつかい座の逸話が関係しているかは分らないが、彼女もアステリズムでは無いにしろ、彼らと同じ位の力を持っているかもしれない」
　彼の言葉に、僅かに息を飲む夏朝。彼女は手にしていたコインを見つめ、おもむろにスマートフォンで撮影し、近くの人に見せ始めた。
　その中で、ふとサキリ・デイジーカッターが口を開く。
「へびつかい座って確か１３星座だよね？　そんなアステリズムがいるのか怪しいな。そもそもここは第何階層だい？」
　その問いかけに、全員が息を飲む。
　アステリズムに遭遇していれば、その階層で何らかの形でオーブに火をつけていた。だが、今回は違う。隠されたオーブを探し、破壊しなくてはならない。それに、サキリの言葉も一利ある。
「ともかく、今は情報を集めよう」
　サキリの言葉に一同は頷いた。

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