貴方がたが目を覚ますと、そこは……饐えたにおいのする場所だった。
空気は埃っぽく、古ぼけた明かりが所々を照らしてはいるものの薄暗くて解りづらい。
辛うじて目の前に作業台らしき物があるのが見える程度である。
冒険者たちが困惑している中、その中の一人である
東条 あんずは床に何か落ちていることに気付いた。
「あれ? これって何だろ……」
不思議に思って拾い上げると、それはいびつな古いコイン。元は美しい文様が刻まれていたであろうそれは、何かに溶けて曲がっていた。
目をこらすと、そのような物があちこちに落ちている。あんずは思わず「うーん。おかしなところだぜ」と唸ってしまった。だがその時、
彼女はどうしてここに来たのか、思い出せなかった。
「そういえば、なんでここにきたんだったけ?」
その呟きに答えるように、いつの間にか1人の女性が姿を現した。彼女は手に黒い炎がともったオーブを持っており、無表情で佇んでいる。作業服の上にローブを羽織った女性は、冷たい眼差しであんず達をみた。
「ようこそ、冒険者の皆さん。私はエリオナイト。『へびつかい座』のアステリズムです」
そう名乗った彼女は、僅かに目を細め、1枚のコインを拾い上げた。金色に輝くそれには女性の横顔が刻まれている。それを握りつぶしながら、彼女は言葉を続ける。
「今回は皆さんとちょっとゲームをしたくおもい、ここに案内した次第です。なんでも強い刺激がお好みとのこと。故に私はちょっとスパイスを聞かせた次第です」
「? しげきって……」
あんずが不思議そうに首を傾げたとき。メリメリとどこからともなく聞こえてきた。パラパラと何かが落ち、同時に床が軋む。
「時間の経過と共にこの建物は腐食します。倒壊に巻き込まれたくなければステラを差し出しなさい。……冗談ですよ」
エリオナイトは無表情のままそう言うと僅かに笑った。
「これと同じオーブを全部で11個隠しました。それを全て壊しなさい」
彼女はそういうと、静かに闇の中へ消えていった。
あんず達が困惑していると、ステラがいつの間にかあらわれていた。だが、顔色が悪く、寒そうにしている。
「! 大丈夫?」
「ここ、こんな場所じゃなかった気がするの。もっとあったかくて、居心地のいい場所だった気がするの。ステラ、なんとなく分かるの」
ステラも途惑いながら呟き、泣きそうな顔になる。あんずはステラの手を握り、小さく言った。
「とりあえず、あのオーブを壊そっか」
取り残された冒険者たちは、ステラと己の命のために動き出した。
というわけで菊華 伴です。
今回は自称『へびつかい座のアステリズム』エリオナイトが誘う廃墟探検です。
ただし、時間の経過と共に廃墟が腐食していきます……。
理由は不明ですが、じわじわ朽ちていき最後にはつぶれてしまいます!
ステラ「んー、なんかいやな感じなの!
あの建物が壊れてしまうのはとってもいやなの~!」
ステラ曰く「なんかあの場所がなくなるのは悲しい気持ちになる」との事。
それに貴方たちも帰れなくなってしまうかもしれません!
概要
自称『へびつかい座』のアステリズム、エリオナイトがあなたがたに
「ゲームをしましょう」と誘ってきました。
それは廃墟内に隠した「黒い炎が灯るオーブ」を「廃墟が壊れる前に壊す」
というものです。
皆さんは廃墟内に隠されたオーブを破壊し、崩壊を止めましょう。
廃墟について
饐えたにおいのする空間で、全体的に薄暗い状態です。
明かりが無くては探索しづらいでしょう。
また窓も開きません。
1階部分は工房のようです。
ガイドの時点でPCさんたちは1階の西側にいて、背後が出入り口です。
ただし出られません。
1階には2つの竈と3つの作業台、工具など道具の入った棚があります。
(北側に竈があります。建物の半分は1階のみ、南側だけ2階部分があります)
2階部分の階段の近くに応接間らしき部屋があります。
その奥には丸いテーブルがあり、壁にはボロボロのタペストリーがかかっているようです。
その他、本棚やいろんな道具が入った棚があります。
PL情報
この黒い炎が燃えるオーブを破壊すると消えます。
また、建物の中を探索する事でこの場所の正体やエリオナイトについて
何か解るかもしれません。
その他、「十二星座と女性の横顔の金貨」をお持ちの方は、
なんとなくヒントになりそうな物を見つけやすくなります。
登場NPC
ステラ
今回は皆と一緒に行動します。
ですが建物の腐食と共にちょっと体調を崩してしまう……かも?
エリオナイト
薄桃色の髪と赤銅色の眼をした女性です。
冷たい眼差しを向けていますが、その目に時折黒い靄がちらつきます。
ゲーム中は黒い炎が入ったオーブを持ったままあちこちに出現します。
星の力
星幽塔の中では、ひとりにひとつ、不思議な光が宿っています。
剣士の光(青) :剣技が上手くなる
闘士の光(橙) :腕っぷしが強くなる
狩人の光(紫) :弓矢が強くなる
盗人の光(金) :普段より勘がはたらき、器用になる。
(例:宝物を見つけたり、鍵開けが得意になったりする)
魔火の光(赤) :火の魔法を使える/星の光が宿った武器が火属性になる
(例:火の玉を飛ばす魔法が使える、刃に炎を纏ったりできる)
魔水の光(水色):水の魔法を使える/星の光が宿った武器が水属性になる
(例:水流を鉄砲の様に飛ばす魔法が使える、刃に水を纏ったりできる)
魔風の光(緑) :風の魔法を使える/星の光が宿った武器が風属性になる
(例:つむじ風を起こす魔法が使える、刃に旋風を纏ったりできる)
魔土の光(茶) :土の魔法を使える/星の光が宿った武器が土属性になる
(例:土礫を投げつける魔法が使える、刃に砂を纏ったりできる)
癒しの光(白) :自分や他者を癒すことができる
騎士の光(桃) :乗り物(生き物や機械類。大きさは馬程度まで)を巧みに操り戦う
星の力を小型の乗り物に変化させることもできる。
ペガサスなど架空の生き物、一般的な装備などもOK。
(例:炎を吐くチビドラゴン、手綱や鞍のついた馬)※機銃のついたバイクはNG
※アクション例
【騎士の力/剣】馬を巧みに乗りこなす。※この場合乗り物は別途調達
【騎士の力/馬】星の力を馬として実体化し、巧みに乗りこなす
呪術の光(黒) :呪いの力で対象を弱体化させる
(例:体力を奪う、敵の攻撃魔法を弱くする)
光は体に宿ったあと、その者にあわせた形状に変化し、身につけることになります。
(例:指輪、体に埋め込まれる、武器になっている、愛用の武器の装飾に)
※星の力のサポートは、星の力が宿ったアイテムを所持していない時は受けることができません。
※武器(剣、弓、斧、杖など)はひとりひとつ。双剣など2つで1セットのものなども可。
※星の力やその形状は、変化したりしなかったりいろいろなケースがあるようです。
(このシナリオの中では変化しませんので、今回はひとつだけ選んでください)
※もれいびは「星の力」と「ろっこんの力」の両方使えます。
※ひとは「星の力」を使えます。
※塔に召喚されると、衣装もファンタジー風に変わります(まれに変わってないこともあります)
※もちものは、そのPCが持っていて自然なものであれば、ある程度持ちこめます。
どの星の光をまとい、その光がどんな形になったかを
アクション冒頭に【○○の光/宿っている場所や武器の形状】のようにお書きください。
衣装にこだわりがあればそれもお書きください。
それではよろしくお願いします。