【ハロウィン】寝子島神社で仮装行列をしたっていいじゃないっ！｜リアクション

【ハロウィン】寝子島神社で仮装行列をしたっていいじゃないっ！

「恵美、どうしてもこの格好をしないといけないのか？」

　伊藤武正はいささか困惑しながら妻である伊藤恵美にそう言った。
　今回のハロウィンパーティーが寝子島神社で行われるイベントだという事で、氏子でもある伊藤夫婦がそのイベント進行の手伝いの一環として見回りを引き受けたのは良いのだが、『コスプレイベントにコスプレしないのは無粋』という妻の鶴の一声で、夫婦そろってコスプレをする羽目になったのだ。
　武正はその筋肉質な身体によく似合う軍服を着せられ、身体中傷だらけのメイクを施された。

「大丈夫、凄く似あってるわよ♪」

　同じように軍服を来た恵美は武正とは打って変わって、ハイテンションにご機嫌である。
　それもそのはず、恵美は子供の頃からアニメが大好きで、現在でも同人誌即売会で作家、コスプレイヤーとして参加しているぐらいなのだ。
　今回のコスプレもお気に入りのアニメ、ニャンプキン・シザースのランドル伍長とアリスン少尉のセレクトだ。

（恵美の事は愛しているがその趣味は未だによく理解できない。
　まぁ特に動きにくい訳でもないし、彼女が喜ぶなら今日は付き合おうか……）

　今日『も』武正は愛する妻に全面降伏である。いかつい伍長は可愛い少尉様に連れられて市中見回りの役に着くこととなった。

「さて、ともかく不審者がいないかしっかり見回らないとな……」

　武正は気合を入れて周囲をにらむ。その迫力は満点で、そのコワモテぶりには幼い子供が泣き出してしまいそうになるほどだった。

　一方の恵美は愛するダンナ様とお揃いのコスプレ姿で歩けるだけで幸せいっぱいだ。

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