夢の晩餐｜リアクション

夢の晩餐

　後日談がある。

　夢から覚めた海美は、とってもさわやかだった。
　おそとがあかるい！　いいてんき！
　たのしいことがありそう！

　１階に下りた海美に、父親から声がかけられる。
「今日は、海美の好きなものを食べよう。何が食べたい？」
「レバ刺したべたい！」彼女は笑顔で答えた。

　危険な生肉（まさか、レバ刺しなどということはないが）を娘に食べさせるのは誰だ！　
と、憤慨する過保護なお父さんを尻目に、うってないのー、そんなー、と残念そうな顔を見せる海美だった。

「うーん、ひどい夢を見た……」林檎はむくりと起き上がると、急に布団を跳ね上げて跳び退った。
「うああぁぁぁああ！！」夢から覚めても、臭いは果てしなく追いかけてくる。
　幻影の臭いは、どこまでも付きまとってくるのだ。「取れない、取れないよー！！」
　彼女の悪夢は、またも三日三晩続いた。
　
　もはや彼女の人生の課題となりつつあるシュールストレミング。
　今回の経験を糧に、彼女は次に一矢報いることができるのだろうか。

　夢から覚めても、天野の疑念は晴れぬ。
　あの弁天の正体。どう考えても、津止先生だった。
　尋ねてみなければならない。
「津止先生、あの、弁天って知ってます？」
　それを聴いた瞬間、津止先生の顔色が変わった。
　仮装大会で、彼は弁天の格好をしていた。
　あの時はなんとなくやってしまったのだが、教場でその話を出されると、沽券にかかわる。
　教育の場としての、神聖なムードも台無しになる。
「……そのことに、触れてはならない」厳かに言いはなつ津止先生。
　ただならぬものを感じる天野。
「触れてはならない……」
　深遠を覗き込むものは、深遠に覗き込まれる。
　この件に関しては、とりあえず置いておくことにした。

　九夜山南西に、弁天を祭った小さな祠がある。
　男性とも女性ともつかぬいかつい弁天の像は、民俗学者の好奇をそそるという。
　最近、その近辺でトマトの匂いがするという噂が立った。
　その清清しいトマトの香りを嗅ぐと、あまり普段食べたくないような食材を、ふと食べたくなるという。

　そんな時、いかつい弁天の表情が、少しだけ笑ったように見えるのだそうだ。

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あとがき

担当マスター：ぱーすぺ
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ありがとうございました。

キライなものの理由、取り組みかたもさまざまで、びっくりいたしました。
内容も軽いものから重いものまでバリエーションにとんでいて、非常に豊かだったと思います。
その中でも「家族関係」に触れられたかたが多かったのが印象的でした。
スキキライというのは、成長した環境によるものも大きいんですね。
人とのかかわりが強く出せたという点で、とても『らっかみ！』らしいシナリオになれたと思います。

それではまた、熱いアクションをいたしましょう。

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