夢の晩餐｜リアクション

夢の晩餐

嫋嫋たる琵琶の音は、詩人にしか夢見られぬ柔らかな夜のヴェール。

「無理……」気弱に呟く林檎。
「料理してみよう。クッキングバトル！」慎之介の提案に頷く時尾。
　きらきらと輝く、でっかい揚げ物。
『カレーまぶしピーマン包み納豆巻きシュールストレミング』の完成だ。

「これなら、何とか……」
　頷く林檎。後ろ手を押さえてもらって、ゆっくりと近づけてゆく。
「ちょっと待って」
「何」
「やっぱ無理」
　叫んで走りだす林檎。追いかける一同。

「こんなの無理……ッ」
　頭ではわかっているが、全身が拒絶している。
　林檎の顔に、分厚い衣が近づけられる。
　その時、衣がつぶれて、中のガスが林檎の顔に吹き付けられた。

「うわああああ！！！」
「ぎゃああああ！！！」

（らっかみ倫理委員会より：以下十行の記述を削除シマス！）

　林檎の魂は、夢も届かぬ宇宙の果てへと飛び去っていった。

　こうして林檎はシュールストレミングを食べた。
　食道を通って胃に送り込まれるだけの生理運動を、食事と呼べるのならば、だが。

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