装飾譚：パジャマ「スリーピングローズ」｜リアクション

装飾譚：パジャマ「スリーピングローズ」

　休日のウィンドウショッピングを楽しんでいた桃川圭花。
　ティアラ内では新しい季節に合わせて飾りつけが変更されており、館内全体が春の訪れを歓迎していた。バラモチーフのアーチやオブジェが至る所に配置されている。
（まるでバラ園ね）
　装飾を目で楽しみながら歩いていると、後ろから
「桃川じゃないか」
　と、声をかけられる。振り向くと修と美咲紀が買い物袋を下げて立っていた。
「こんにちは。八神君、椿さん。お買い物？」
「ああ。先ほどスリーピングローズに行ってきた」
「ふふ、シュー君はナイトガウンを買ったのですよ。今夜はこれを着て、片手にはワイングラス、ひざには猫を乗せるのです」
「そんな予定は初めて聞いたな」
　修と美咲紀の軽快なやりとりに圭花はクールに笑ってくれる。
　圭花はふたりと別れた後、件の店に行ったことが無いことに気付く。フロアマップを確認すると今いる階にあるらしい。ついでに寄ってみることにした。

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