コズミック焼きそばパンをこの手に！｜リアクション

コズミック焼きそばパンをこの手に！

　暴風雨と雷撃の中、利平は疾走していた。
　自分を挑発している。

　利平は駆ける。
　笑みが青白く浮かび上がる。

　雷鳴が重く響く。
　バスの重低音だ。
　利平はダンスミュージックを愛していた。荒れ狂う風雨のダンスホールなんて、最高じゃないか。
　熱いビートの波がつんざき、利平を昂らせる。
　全身から陽炎を放出する。

　信彦を待たねば、と頭の片隅で思うのだが、激しい高揚の波がそれを許さない。
　右腕を後方に突き出すと、利平は絶叫した。

「行くぜ、にぎりっぺブースト！！」

　利平のろっこん『にぎりっぺ』！
　全力で拳を握ることにより、周囲の空気を圧縮し、気弾として放出できる。
　冗談めかした名前と裏腹に、汎用性は高い。
　今彼は、それを後方に放出することで、滑空を試みようとしていた。
　傍目には発動しているのかすら判然とせぬ利平のろっこん、衆人環視下でも『フツウ』を突き破ることなく、彼に自在の機動を与える。

　飛翔し、二階のベランダを駆け巡る二つの影。

　それを目の当たりにした生徒たちは絶叫した。
　黙ってはいられない！
　一目散に走り出す生徒たち。

　パシャパシャパシャパシャ！
　砲火のようなカメラのフラッシュが、廊下を照らす。

（がおー、ナイスなのだ！）心中、真央は快哉を叫ぶ。
　どこまでがおーが計算したのかわからないが、ともあれ状況の打破には役立った。

　そこに現れたのは納十一。