焼きそばパンＤＸをこの手に！｜リアクション

焼きそばパンＤＸをこの手に！

　空前絶後！　この二人は、さながらロケットのように『飛ぶ』気だ！！

　利平は笑う。これだから、信彦とのコンビはやめられない。
　信彦は無茶を言う。理屈は通っていて、相手の裏をかく策。完璧なアイデア。
　常人には、実現不可能なことを除けば、完璧。
　そう、不可能……アシストの鬼、利平の存在なくしては。
　不可能を提案する、信彦。そして、不可能を可能にする、利平。
　そう、二人はいつだって完璧なのだ。
　
　跳ね飛ばされた朝陽、万事休すか。
　背後からかけられる、シダの声。
「あさひも、とばしてやろう」

「飛べ！　『空駆ける博愛黒天使』！」
　利平の絶叫とともに、信彦が人ごみの上空めがけ射出された！

　シダの言葉が、朝陽には理解できない。
　嫌な予感が走った。
　さっきの回転対決の余韻が残っているのか、信彦たちに感化されたか、
　ともかく彼女は『人間だって飛べる！』という誤解をしてしまったのではないか？

　何事か言おうとした瞬間、朝陽は太ももに衝撃が走り、自分がミサイルのように飛び出すのを感じた。

「たーまやー、とんでけ、あさひ！」
　

　天魔の影のごとく、白昼の廊下を信彦が滑空する！
　ときめきの宇宙遊泳（スカイラブ）。重力の軛から瞬時逃れた彼は、あざやかな放物線の尾を描いていく。

　実はお尻が弱点な朝陽。
地味にそこを外して蹴ってくれたのはシダの優しさだろうか。
「ぎゃああああああ！！！」

　きらめく二条の熱い流星！！
　生徒たちの頭上を越えて、二人のサッカー部員が、ゴールめがけて飛んだ！

＜注：サッカー部とは、自分がサッカーボールになる部活ではありません！！＞

（やあ、アサヒくん。俺達、飛んでいるな……）

（そうだな、信彦。人間って、飛べるんだな……）

　加速する刀。
　三者、ほぼ同時に購買部に『飛び込む』。
　ちょっぴり射出角度の急だった信彦は、入口の上辺に顔面を強打する。

　朝陽、刀、信彦。
　長き道のりを越え、真っ先に購買部の門をくぐった三人。
　顔を上げるのも同時。
　レジめがけて走り出すのも同時。

　最早、策はなし。ただ、ただ疾走するのみ。

　だが、その時。
　刀が叫んだ。

　最後の最後まで仕舞い込まれた真の切り札が、火を噴く！