焼きそばパンＤＸをこの手に！｜リアクション

焼きそばパンＤＸをこの手に！

　散光の中で、刀は意識が変容するのを感じる。
　世界が重く溶解し、色を残して崩れ落ちていく。
　あらゆる境界が分離し、消え失せていく。
　刀のろっこん『加速』。
　シンプルで迷いのないその技。
　不安定な状況下、それは爆発的な威力を放出した！

　刀の肉体が軋む。
　刀の骨格が爆ぜる。
　意志の力だけで、ただ意志の力だけで、刀は態勢を保ち、己を走る白銀の矢と変える。
　誰よりも速く、何よりも速く、刀は滅失への加速を開始する！

「させるかっ！！」
　そんな彼にタックルをかましてくる学生たち。
　刀は、マークされていたのだ。
　圧倒的なスピードを誇る彼。下馬評でも上位に持ってくる者が多かった。
　巧みに追撃を躱し、加速する刀。振り切られた学生が転倒し、背後で大混乱が巻き起こった。

　大きく乱れた人、人の壁。
　もみくちゃにされた朝陽が、大きく弾き飛ばされる。
　
「リヘーくん！」信彦が叫ぶ。
　状況が混乱してきた。
　読み通り！　読み通りだ！　信彦の明知は、混乱すら変数に組み込む。
「おうさ！」利平は何を思ったか、逆立ちしたと思うと、膝をぐっと屈曲し、足裏を天に向けた。
　丁度射出台のようになった利平に、信彦は飛び乗り、きっと天を見据えた。