寝子中同窓会！｜リアクション

寝子中同窓会！

○思い出の校舎で

　晴れ渡る夏の日。
　寝子島中学校には夏休みにも関わらず大人や高校生たちが集まってきていました。
　今日は寝子島中学校の創立５０周年記念の同窓会が開催されるのです。

　木天蓼大学２回生の城山水樹は、開始時間より少し早く学校を訪れていました。
「そういえば中学なんて卒業してから一度も行ってなかったな」
　招待状を受け取った水樹は、ちょうどヒマだったし、懐かしさに誘われて参加することにしたのです。

「まだちょっと早いし、散策してみようっと」　
　水樹は同窓会会場の体育館ではなく、昇降口に向かいます。
「あっ、ここの壁の色、塗り替えたんだ……前はクリーム色だったのに」
　学校に足を踏み入れた途端に、色々なことが頭に浮かんできました。
　誰もいない教室を覗いてみます。
　壁に貼られた掲示物や机の新しさはあのころとは違っていましたが、どこか懐かしく。
　先生の物まねをしてふざけていた男子の姿や、それを見てお腹を抱えて笑う女子の姿が、昨日のことのように鮮やかに目に浮かぶのでした。

　教室を出た水樹は階段を上り。自然と屋上に足が向いていました。
「ああ……変わってない」
　扉を開ければ、あの頃のままの屋上。
　１０年たつうちに新しいビルが建ったりして景色はあちこち変わってはいるのですが。
　それでも空は変わりません。
　屋上は水樹にとって大切な思い出の場所です。
　初恋の同級生とのファーストキスの思い出。
　あの時の頬が熱くなる恥ずかしさと、どこか誇らしい気持ちが時を越えて蘇って、水樹はとてもくすぐったい気持ちになるのでした。
　
　さばさばして社交的で男子の友達が多かった水樹は、中学・高校時代とバスケ部でした。
　中学の時は全国大会に出たこともあります。
　あの頃から人の視線を集めるのが気持ちよくなったのでしょうか。
　高校２年の時に怪我でやめてしまったことも思い出し、複雑な気分になりましたが。
「あ、そろそろ時間……」
　もっとここにいたいけれど、今日は他の同級生たちともおしゃべりしたいのです。

　水樹は屋上の扉を閉め、階段を降りていきました。
　その途中、スケバンのような長いセーラー服の、眼光鋭い少女とすれ違いました。
　まだ卒業したばかりという感じかな、と水樹は思いました。

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