軟体これくしょん｜リアクション

軟体これくしょん

●怪奇！　巨大触手お化けvsメリケンカラテinネコシマ　夏の大決戦！

　一方、朝野未沙と『めりけん奥義の遣い手』メアリ・ラングストンは、ヌメヌメと触手をくねらせる巨大イカを目の前にして、他のもれいび達の様な反応とは違い、ハイテンションで楽しげな笑みを浮かべていた。

「触手ですよ！触手！！！」

「にゃはは。呼ばれてないけどじゃじゃじゃじゃ～ん♪
　チャリで来たら、怪獣との遭遇だー。ほう、ラブクラフトみてーな展開じゃのう……」

　もっとも、メアリは関連作品をななめ読みしかしてしていなかったのだが、そんなことは目の前の危機に比べればたいした問題ではないのだ。これからラブをクラフトする事の方が重要なのである。

「ひゃっはー。海のもんは陸地に上げてしばく！
　水系は火責めっ。めりけん殺法の定石じゃあ～！　テケリ・リ！　手ッっ蹴りッ」

　雄たけびを上げながら、空手の型のような……というか奇妙な謎の舞踊のような……とにかく謎のポージングを次々と繰り広げるメアリ。
　ときおり蹴りで足を高くあげた時にゴスロリのスカートがまくれ上がるが、そこは無問題。下にはTバックのマイクロビキニを着用しているので安心である。（または残念である）

「めりけんのビキニカラテ！　本邦初公開じゃ！」

　ビシッ！　ババッ！　キュピーン！

「いやーん、セクシー！」

　女の子が大好きな未沙は大喜び。
　メアリの服から、ちらちらとマイクロビキニが覗き、もはや挑発なのか悩殺なのか分からない。（いいぞもっとやれ！）

　しかし詳細はどうあれ、その怪しい（妖しい）ダンスが巨大イカの注意を引いたのは間違いない。
　巨大イカはそのぬらぬらとした粘液に覆われた巨体をくねらせ、もれいび達に突進してきた！

「うあらばっ！」

　突進と共に繰り出される触手の乱撃に、身をかわし損ねたメアリは攻撃を受けてしまった。
　そのままぬるぬるした触手にその身を絡め取られ、締めあげられながら、服を溶かされてしまうのか！？
　そんなとても絵にも書けない様な阿鼻叫喚の地獄絵図が読者の目の前に繰り広げられてしまうのか？　　
　どうする？　らっかみ倫理委員会！？

　――しかし、そうはならなかった。

　触手がメアリの身体にぶつかった瞬間、まるでかき消すかのようにメアリの姿が消えてしまったのだ。
　正確にはメアリの服だけがその場に取り残され、ぱさりと軽い音を立てて砂浜の上に落ちた……

　それは、メアリのろっこん『うわらば』の効果だった。
　服はこの場に残ったが、メアリの身体は霧と化し、いかなる攻撃も無効化し、もはや巨大イカの触手など恐れるに足りない。

　イカだけに！　イカなる攻撃も！

　失礼……い、いや、それどころか、霧と化してしまった以上、こちらからの攻撃ものれんに腕押し、糠に釘状態。元に戻るまで何もできなくなってしまったのだ。

「や、やってしまったのじゃ、と、とにかく今は逃げるのじゃー」

　メアリは一目散に逃げ出した。

「それなら、イカさん、こっち、こっちだよ！」

　未沙は海の中に入って、水面をバシャバシャ叩いてイカの注意を惹く。
　すると、みるみる未沙の両手両足が触手に変化したではないか。
　これが、未沙のろっこん『あなたの後ろに這い寄る触手』の効果である。
　先程のメアリのセクシーダンスによって、『女の子大好き』な未沙は興奮し、その状態で水に触れる事がろっこんのトリガーとなり、触手を生やすのだ。

　触手と触手が鬩ぎ合う熱いバトル！　触手が触手を弾き、絡み合い、奪い合う！！

　もう何が何だかわかりません。SAN値がガリゴリ削られるのでこれ以上は詳細に描写できないのが残念です。