紅い玉がでるまで｜リアクション

紅い玉がでるまで

「笑ったり泣いたり……忙しいっす」

　玉を追いかける誠也。
　一際高く跳ね、キャッチされる。
　掴んだのは、マフラーの少女。

　玉の持ち主が、とてもうれしがっていること、そしてそれがわかってもらえないと、とても悲しいことを、心花さんは一瞬で察知した。
　笑いかけ、心花さんはレモン色の玉を一斉に跳ねさせる。
　誠也もぎこちなく、でも最高の笑顔を心花さんにむける。
　言葉を交わさなくても、わかる。
　走り出す。もっと感情のあるところへ。

「ぬうううううっっ！！」

　小萩はパニックになっていた。
　ケータイが、大量のアプリをインストールする。
　さまざまな画面が明滅し、英語のメッセージが飛び交う。
　押さえつけようとすると、どこかに電話してしまった。「あ、国防長官？　すいません、まちがいです！」
　おちつけ、おちつけ小萩……とりあえずなんか、聞いたことのあるのを……。
　
『ねこったー』これは聞いたことがあるです！
　ぐりっとなぞると、小萩の目に飛び込んできたのは。

「玉？」

　小萩は、ハイテクケータイをぐりぐり動かす。
　誰かの集めた、ものすごい数のデータ。
　そして誰かの撮った、感情の光が渦巻く寝子島の画像。
　
　すごいことになっているらしい。
　顔を上げる。行きたい！　見てみたい！