【水泳大会】多分、生死を賭けた戦い（白猫サイド）｜リアクション

【水泳大会】多分、生死を賭けた戦い（白猫サイド）

【決戦は自由形で？！　決着編】

　武道が一位であった背泳から、平泳ぎに変わった瞬間、ふたたび順位は拮抗状態へと戻った。
　ただし、この時点でティナは完全に離されているので、五人で競う形となった。
（バッタや平もターンのキックでは力強く！　泳ぎ終わったら力尽きそうだけど、悔いなくやりたいな）
　水泳に対しては真剣な武道。
　その武道に、蛇那伊と月が追いつき始める。
（うふふふふ、いい男を追いかけるのも悪くないわ。だけど、勝負だから真剣に行くわよ！）
　蛇那伊が、全身をそのままバネのようにしてターンのキックをし、全体の面積を活かして水抵抗を無視するかのように、速度を上げ一気に迫る。
　また、月はそんな蛇那伊とは対照的に、水の抵抗を極力少なくしつつ、フォームの維持しつつ進んでいる。
（ペース配分も想定通り、ここからは私と私との勝負、といったところですか）
　スポーツは最後まで気を緩めることは出来ない。
　試合前から水泳部部長ということで注目されている寿美礼は、まだ自分のペースの維持をしている。
（バタフライは体力消耗が早いから全力では行かず力をセーブして、背泳ぎ平泳ぎは急にあげたりせずに一定のテンポを保つ）
　一応、水泳部の部長であるので、簡単には負けてやれない。
　そして、それと同じようにマイペースを保つのは、杖子である。
（慌てず騒がず、堅実に自分のベストな泳ぎをします）
　そしてついに、最後のターンが訪れた。
（今ッ！）
　すばやく、壁を蹴って一気に伸びたのは寿美礼である。
　まるで弾丸のような加速で、一気に先頭へと突き進む。
（早いわね……！）
　蛇那伊が、その加速を感じて警戒心をさらに上げる。
　蛇那伊はダイナミックな泳法により、ぐんぐん加速をしていく。
　例え水泳の専門でなくても、運動に長けているならばそれらがカヴァーできるという。
　特に、ターンに対しては面白い。
『ターン時も壁の少し手前で勢いを殺さずに回り、全身をバネに見立てるように壁ギリギリまで身体を縮こませてから一気に蹴りだす』という手法により、水泳部の二人について行っている。
　ある意味、パワープレイであるが、ターンのやり方は基本自由である。
　そして、その後に武道、月、杖子と続く。
（まだだ！　得意なクロールと背で一気に引き離す！）
　武道もまた、一気に加速を始め、負けまいと追いつこうとする。
　そうして、すぐにゴールであるプールの壁が見えてきた。
　一位の可能性は、寿美礼か武道か杖子か、それとも月か蛇那伊か！
「ゴール！　勝者は……ぶちょ、いや、佐々寿美礼選手です」
　エカテリーナがその宣言を行うと、白猫組が喜びに満ちあふれた。
「これで、黒猫組が2点、白猫組が5点で、白猫組が3点リードです」
　そうエカテリーナは言いつつも、まだ白猫組が勝ったわけでは無いと考える。
　この後のユニーク競技の結果次第では、十分逆転されるのだ。
　水泳部の武道と部長の寿美礼はこの後の競技への参加予定がない。
つまり、それと同じだけの競技へ情熱を注ぐ人が現れたら分からない。
「この後は、一時休憩を挟んでユニーク競技です。犬かきレースの参加者は……」
　そして、必要なアナウンスを行った後、生徒会と水泳部を中心にした運営はあつまり、ユニーク競技の準備をする。
　
　その間。
　武道は、自分のタイムを計測していた係に聞いていた。
　しかし、タイムは変わらず、スランプはまだまだ続きそうであった。
「何かきっかけがあれば、な」
　スランプを抜け出せれば……そんな風に思うのであった。