【水泳大会】多分、生死を賭けた戦い（白猫サイド）｜リアクション

【水泳大会】多分、生死を賭けた戦い（白猫サイド）

【激突！　バタフライ！　決着編】

　ターンの結果、順位は鳴、萌、寄居子がほぼ並んだ形となった。
　やや、萌がリードしているものの、鳴と寄居子がターンで一気に接近してきた。
　とくに、ターン後にキック力を使った寄居子が一気に追い上げ、鳴は素早く、軽やかにターンをして、一気に速度を得たのだ。
　その後ろにマウルが続く。
　そして、それはそのままゴールの直前まで続いた。
（つ、疲れたぜ）
　今まで勢いが良すぎたせいか、ゴール直前で失速を始める萌。
（チャンス！）
　失速してきた萌を見て、鳴がさらに力強く泳ぐ。
　また、寄居子も勝負に遅れまいとスピードを出す。
　萌がそのまま一位となるか！
　それとも、鳴か寄居子が逆転をするのか……！
　周囲全員が見守る中、一位が決定した。
「ゴール！　これは意外な結果になった！　一位は仲村渠鳴選手！」
「えっ？！　あ、やった！　勝ったわ！」
　武道の言葉に、鳴はプールから上がったばかりの体から水をきらきらさせながら、大きく喜んだ。
　白猫組からも安堵の息が漏れる。
　これで同点、白猫組が追いついたのだ。

　……。
　
「さって、次の競技は花のメドレーだ！　ブドー、放送席からジョブチェンジでメドレーいっきまぁす！」
「ちゃんと更衣室で着替えなよ！」
　そう言って、上着を脱いだ武道に、寿美礼はつっこみを入れる。
「ブドー君……」
　そう言われて上着を置きに行く武道に、寿美礼は何かを話しかけようと口を開く。
「寿美礼ちゃん？」
「あ、いや、何でもない！　頑張ろうね！」
「おー！」
　元気よくやりとりをする二人。
　何かを聞こうとした寿美礼であったが、どう切り出したものか、　悩んでいる寿美礼であった。
　実は、武道は現在タイムが伸び悩んでいる。
　練習やタイムを見ていれば、武道が現在それについて苦しんでいるのも分かってはいたが、寿美礼にしてみれば、その話題に今触れることが怖かったのだ。
　そうして、時間は過ぎていった。