【水泳大会】多分、生死を賭けた戦い（黒猫サイド）｜リアクション

【水泳大会】多分、生死を賭けた戦い（黒猫サイド）

【激突！　自由形！　ターン……そして決着へ編】

　ターンの結果、トップに躍り出たのは楓であった。
（コンパクトに鋭く！）
　次いで、シダがいるが、脚力が強すぎて、ターン時にややブレが出来たのか、体勢を立て直すもその差が開き始めている。
（ニャンニェー　負けない　早いぞ　シダ　早い！）
　しかし、シダは猛烈に追い上げを開始する。
　一方朧は、綺麗なターンを決めたが、楓たちには追いつけない。
　最初、トップであった璃亜はさらにその後で凜や、刀らと同じ位置である。
　そして、最下位ながらも追いついてきたみゆきと、倫理子らが、その刀らの位置に追いついてきた。
　が、残すところ一五メートルの時点でシダと楓の一騎打ちとなった。
　やや、楓が先行する形で、徐々にシダが迫る形での追い上げである。
（焦りすぎず、全力で勝ちに行く）
　楓がペースを崩さずに勝ちを狙い。
（バタ足　強力な　クロールもどき　シカかき　ちがう　美しく　それでいて　力強いフォーム！）
　なにやら、思考をぐちゃぐちゃにしたシダが追い迫る。

　……。

「ゴール！　ゴール！！　勝者は、黒猫組の鳴神選手です！」
　萌の言葉にわっと、黒猫組がどよめく。
「まゆ先生、解説をお願い……ヒイッ！」
　解説をしている暇はない相原先生であった。
「……代わりに俺が説明しよう。鏡箕」
　やれやれと、まゆ先生を見ながら、現れたのは吉田熊吉先生である。
「まず最初に、クロールには三つのターンがある。
　一つは、タッチターン。
　二つ目は、クイックターン。
　そして最後に、鳴神が使ったスピンターンだな」
　そう言って、解説をする吉田先生。
「だいたいは、タッチかスピンっスよね？　自由形はターンするときにどこか一箇所壁をタッチすればいいッスから」
　萌が、水泳部らしく聞く。
「そうだ。というか、授業ではタッチターンが出来れば十分だぜ？　あのスピンターンは、難しいからな。水泳全般はターンが大事だぜ。ターンが勝敗を分ける事が多いだろ？」
「今回の、自由形もそうだったッスね」
「鳴神の場合は、ひねりが多かったり、スピードが落ちて時間のかかる他のターンよりも、難易度が高いが、スピードの出やすいターンで勝負し、勝った。そんなところだろ？」
「そうッスね。解説の吉田先生、ありがとうございました！　おっと、次の競技は平泳ぎ！　各組の検討を期待します」
　そう、萌は締めくくった。

　かくして、自由形は黒猫組の勝利に終わった。

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