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寝子島高校
東風吹かば陽炎燃ゆる
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膨れ上がった筋肉をひけらかすようフロントダブルバイセップスを決める男は本当に同じ大学生だろうか。巨漢は
八神 修
を見下ろし歯を見せ笑った。赤銅のように焼けた肌の中で異様なまでに白い歯が浮き上がって見えた。
「君が選ぶべきはそう、我らボディビルディング部ッ!! 共に筋肉の山を上り詰めてみないかッ、なぁ君!!」
「いえ、結構です」
そそくさと退散することにする。筋肉男もまぁ断られることは折り込み済みだろう、あっさりと修への興味を投げ捨てると次なる標的へと狙い定め、ムキムキと効果音を伴わせながらポーズを取りにじり寄っていった。
しばしばキャンパスの広範囲を占有して行われる新入生へのサークル勧誘攻勢はある種、大学生活の一大イベントと言えることだろう。事実この東大キャンパスの正門前から校舎へ続く一帯は新入生とそれらを招く上級生が詰め込まれたかのように一杯となり、行き交うのも難しい有様だった。
「あなた、ぜひうちの陸上競技部へ来てちょうだい! 後悔はさせないわ!」
「東大吹奏楽団、未経験者も大歓迎でーす!」
「青春の汗を流したいそこの君、野球部へ来たれ!」
「いやウチらのテニス部に来るべきや、楽しくてモテるで~!」
「いやいやワシらのX-SPORTS同好会こそが最強じゃけえ!」
「我ら東大応援部はー! 君たちのアツい魂と情熱に期待する! フレー、フレー、と・う・だ・い!」
「いえ。遠慮しておきます」
今のところの全てを袖にしていながら、修とてクラブ・サークルに興味がないわけではない。勉学が本業でありつつもそうした学生たちの繋がりが後の貴重な人脈ともなろうから、二つ三つは所属し交流を深めたい所存である。しかしながら当然何でも良いというわけではなく、真に興味を持って臨めるクラブを引き当てんと吟味しているのだった。
「しかしたくさんあるものだな。目移りしてしまうな……」
「Hi! やあ、ハロー、こんにちは。ニイハオ、ボンジュール、アッサラーム・アライクム!」
なんたる適当。確かにここは多様な生徒らも通う人種の坩堝であるが、この青年は釣り場にあらゆる餌を投げ込むがごとく挨拶を飛ばしまくっていた。
「e-SPORTS研究会に入らない? ねえ君、興味ないかい? 興味ありそうな顔してるじゃん、だって君ほらなんてゆーか、うん。オタクっぽい顔してるから」
気弱なメガネ男子を戸惑わせている彼は、見たところ修とそう背丈は変わらない。それなりに整った顔をして、それなりに引き締まった身体をして、そしてずいぶんと不躾な物言いながらもどこか人好きのする、愛嬌ある佇まいの青年だった。
第一印象は決して良くなかった。軽薄そうで……実際付き合ってみても軽薄な印象は変わらなかったが、当時はそれに輪をかけて不誠実なたちに見えた。
「おっ、そこの頭良さそうな君ー!」
よっぽど無視してやろうかと思ったものだ。
その数日後には食堂で昼食を共にする間柄となっていたのだから、何がどうなるやら分からない。
「結局、e-SPORTS研究会には所属してないってことか。神谷は」
神谷 悠真の流れる水さながらの処世術に煙に巻かれたことを、修はため息と共に得心した。
「そ、顔見知りの先輩に雇われてバイトしてただけー。テレビゲームとか全然知らないよ僕ぁ」
「それでも随分勧誘に成功したそうじゃないか」
「昔から口は達者なほうでねぇ。で、結局八神君はどこのサークル入ったの?」
「旅行研究会と弁論部、それに国際法研究会だな」
至極真面目に答えたつもりだが、悠真は苦虫を嚙み潰したような顔をした。
「旅行研究会はまあいいとして、ベンロンブ? コクサイホー? 正気かい、八神君?」
「至って正気だが?」
そう言った直後に、スマホが震えメールの着信を告げたこと。それに対応しようとして、操作を少しばかり誤ったこと。それら積み重なりがつまりは、彼と修の繋がりを産むきっかけとなったのだ。
「おっと。間違えた、写真を開いてしまった……」
「ちょちょちょ待って、ちょっと待って今の何? 今の写真何? その白いの!」
「勝手に人のスマホを覗くな。愛猫のミルクだよ。……見るか?」
「見る見るゥ~」
愛猫ミルクが繋げた縁は、その後数か月たった今もなお続いている。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年05月08日
参加申し込みの期限
2026年05月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年05月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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