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ムーンライツ・ムーンドライブV
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オモチャの国、との触れ込みであった。ふわりと緩く朗らかなイメージあってこそ
羽生 碧南
も
鷹取 洋二
を伴い、大いなる期待を持って乗り合いタクシーへと乗り込んだわけだったのだが。
「楽しみですね、洋二さん♪」
「うん、一体どんな国なのだろうね」
などと前向きな想像が膨らんだのも、タクシーを降り地に足をつけるまでのことだった。
「伝令ー! 『スター・ニャーズ』軍、侵攻を開始しました! 繰り返します、スター・ニャーズ軍侵攻開始ー!」
「『キャッツ・ファミリー』部隊、『ニャービー人形』部隊は東のトイズ橋周辺へ展開、橋を死守せよ!」
「いいか、『NYAGOブロックス』は戦闘形態への組み換えが完了の後、北のホビール平原へ布陣し待機だ。油断するなよ!」
「みんな踏ん張れ! しばらく持たせれば援軍が来てくれるぞ。何とあの『トランスチェンジャー』だ!」
「おお、あの変形玩具のエリートたちが……!」
遠く響く乾いた破裂音は銃砲だろうか。あちらにはもくもくと黒煙が上がり建物が燃えている。地には瓦礫が横たわり足の踏み場もない有様だ。
そこらを駆け回るのは、確かにそう。オモチャの国との呼び名は嘘偽りなく、それらは動く玩具の兵隊たちであった。
「な……なんですか、これ?」
「戦争中、なのか……?」
愛らしく小さな猫の人形を、碧南は見たことがある。キャッツ・ファミリーシリーズだ。着せ替えさせたり、家に住まわせたり乗り物へ乗せたり、子供たちの人形遊びの定番たる愛嬌溢れるぬいぐるみだが、碧南の記憶においてはハチマキを締め、軍服を着こみマシンガンを構えたものは無かったように思う。ニャービー人形にしてもそうだ。主に女児向けの玩具で、こちらも多彩なオプションで着せ替え遊びが楽しめるものだったが、この国において彼女らは勇ましくミリタリータッチに仕立て上げられていた。NYAGOブロックには大いに馴染みがあるし触ったことがある。無限の想像力を刺激する、ブロックトイの最大手。今ではその拡張性を遺憾なく発揮し、翼をもち飛行する車に大砲を積み込み、帆船には無数の巡行ミサイルを装填し、ブロックを組み上げ作られた三ツ首のドラゴンはメカメカしい武装に改造を施されていた。
碧南と洋二が呆気に取られていると、近くで爆発が起こりブロックの一つが弾けて散った。
「敵襲! 敵襲ー!」
「見ろ、あれはスター・ニャーズ軍の秘密兵器! ギガンテス級スペースシップ、ヘル・スターだ!」
宇宙の最前線からやってきた巨大兵器……をモチーフとした玩具から発せられた恐るべきビーム砲が薙ぎ払い、碧南は洋二にかばわれながら物陰へと避難する。
「大丈夫かい碧南君!? なんてことだ、玩具同士が戦い合うのがオモチャの国だったとは!」
「タクシーの運転手さんが、来たくないって言ってた理由が分かりましたね……きゃあ!」
巨大な宇宙船から放たれる光条が降りそそぎ街を破壊してゆく。布陣するオモチャたちも負けじと迎撃し、瞬く間にあたりは戦場となった。
「こちらでしたか! さぁ乗って!」
「あっ、運転手さん!」
車体を滑らせながら飛び込んできたのは、二人をここへ連れてきた乗り合いタクシーの運転手だった。慌てて乗り込むと同時にタクシーは急発進し、砲火の最中を突っ切る。
「申し上げた通りでしたでしょう? この国はいつもこうなんですよ。皆さん、オモチャの国と聞いて興味を持たれるんですが……」
「ど、どうして戦争をしているんですか? オモチャたちは」
後部座席にてしっかと洋二にしがみつきながら尋ねると、運転手は肩をすくめた。
「彼らにとっては、スポーツみたいなものなのでしょう。どんなに激しい戦いを繰り広げても、オモチャが死ぬことはありませんし」
「死なない?」
「遊びですからね。オモチャは遊ぶもの、でしょう?」
腑に落ちるような落ちないような理屈に二人は思わず顔を見合わせた。
砲撃が建物を破壊しブロックは弾け、四肢の一本が吹き飛んだ者もあればすぐさま新しいパーツを装着した者もある。瓦礫にタイヤが乗り上げ車が跳ねるたび碧南は「ひぇっ!」と洋二へと強くしがみつく。
「おおっと! まぁ、貴重な体験ではあったかな。おかげで碧南君との絆もより深まった気がするし。なぁ、碧南君」
「ふぇ?」
体面も無くがっしりと恋人に抱き着いた姿をちらと振り返る運転手は微笑ましく笑い、碧南は赤面した。
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あとがき
担当マスター:
網 透介
ファンレターはマスターページから!
網です。
夜のドライブシナリオでした。
このお話も何だか長く続いてきました。私も驚いています。
また折を見て公開させていただきたいと思っていますが、良かったら夜のドライブで行きたい場所・走りたい道などあれば、教えてもらえると嬉しいです。
それではまた次回に。
網でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
NPC交流
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年04月16日
参加申し込みの期限
2026年04月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年04月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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