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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
慌てん坊なあの人が来る前に、「おめでとう」をあなたへ
プレゼントを用意して、数日寝かせた方が美味しいケーキも事前に焼いて。
ひとつひとつ忘れていることはないかと確認する綾花は、珪の家で夕食を作り終えたところだ。
（前菜は盛り付けるだけにして冷蔵庫、メインもあとは温めるだけ……うん、ここまで出来たら大丈夫）
誕生日当日を迎えた今、やり残しがあってはいけない。キッチンを軽く整えたら、テーブル周りのチェックもして、この後の予定も再確認して。珪の仕事が終わるまでに、出来ることは残っていないかと部屋を見回す。
（そうだ、お風呂掃除もしておこうかな）
浴室へ向かう前にスマートフォンを手に取ったが、珪からの連絡は無い。仕事が終わったら外で待ち合わせてイルミネーションを見に行こうという約束だけど、図書室を閉めるまで少し時間もあるから、掃除に取りかかっても大丈夫だろう。
服を濡らさないよう注意しながら浴室を洗い始め、綾花はふふっと笑みを零す。
こうして部屋の鍵を借りられたときは、珪に信頼されていることを嬉しく思った。けど本当に１人で入室するとなったときは、ちょっぴり緊張が勝って鍵を使うのも手が滑りそうだったのに。
それが今は、しっかりご飯を作って、お風呂も準備してるから――まるで新婚のよう、なんて思ってみたり。
（こんな日が、当たり前に……なるのかなっ!?）
シャワーを振り回すわけにもいかないので、ぐっと喜びは噛み締めるけど、心の内では期待が膨らんでいく。
彼と同じ家へと帰れる日が当たり前となるのは、ちょっと先なのか、だいぶ先なのか。
気にはなるけど、綾花もその日までに一人前にならなくてはと、予行演習として頑張った。
そろそろ珪も退勤する頃かと思って身だしなみを整えていると、何故かインターフォンが鳴る。
来客なんてないはずだし、宅配が来るとも聞いていない。勧誘かなと様子を窺うように玄関へ近づくと、今度はやや長めに鳴らされた。恐る恐るドアスコープを覗き込むと――綾花は勢いよく扉を開ける。
そこには、どことなく悪戯が成功したような顔をした彼がいた。
「珪さん!? えっ、もしかして私、連絡に……」
「あはは、してないよ。少しとはいえ、綾花さんを暗くて寒い中で待たせたくなかったし。それに……」
ちらりと部屋を覗き込んで、目を細める。珪の意図がわからない綾花は、未だ驚いて見つめ返すしかない。
「いや……うん。まずは――綾花さん、ただいま」
ここは珪の家なのに、という言葉は浮かばなかった。
インターフォンを鳴らしてまで扉を開けさせた意味は、今の一言に詰まっている気がして綾花は微笑む。
「おかえりなさい、珪さん。お仕事、お疲れ様です」
照れくさそうに笑い合っても、それ以上は何も言わない。部屋に入ればすぐ、綾花は「一息入れますか？」とカップを手に取るし、珪は荷物を置きながら「少なめでお願い」と声をかけ、当たり前に動いていた。
きっと、たぶん……なんとなくだけど、珪もこんな時間を願ってくれていた気がする。
ふんわりと温かで、ちょっぴりむず痒いような気持ちは、綾花を次の勇気へ踏み出させた。
「この後、ワインを選びに行きませんか？ 今日のケーキに合うものを探したくて」
小休憩を挟んだけれど、今から出かけたってイルミネーションは十分見られるし、店だって閉まる前に間に合うはず。でも、彼は快諾とはほど遠い思案顔だ。
「もちろん最初に飲むのは、珪さんが誕生日にくれたワインって決めてます。けど……参考に知りたいですし」
自分は飲まないと強く添えつつ、珪には美味しく楽しんでほしいと伝えるも、彼の思案顔はまだ晴れない。
彼と一緒にお酒が飲めるまで、残り半年を切った。もうすぐなようで、あともう一声。そのラインを我慢できないのではなく、彼の好きなものだから深く知りたい。
「ううん……興味を持って、やっぱり今飲みたいって言われたら……」
「なりませんっ！」
何度となく言ったはずだ。お酒はちゃんと、飲める日まで待っていると。
最初のお酒まで決まっているのだから、気持ちが揺らぐことは無いと真剣に珪を見つめれば、じぃっと問うような瞳が返ってくる。
それでも負けまいと見つめ返すと――珪は吹き出すように笑った。
「あくまで一般的な意見と僕の好みを前提とした話だし、色と香りを確かめても試飲できないけど……」
「構いません、それが知りたいです！」
前のめりになってお願いする綾花に苦笑する珪は、「店が入れてくれたらね」と軽い約束に留めつつ。どんなケーキを用意してくれたのかと聞き取りをして、あれこれ頭の中でマリアージュを組むのを楽しんだ。
ひとつひとつ忘れていることはないかと確認する綾花は、珪の家で夕食を作り終えたところだ。
（前菜は盛り付けるだけにして冷蔵庫、メインもあとは温めるだけ……うん、ここまで出来たら大丈夫）
誕生日当日を迎えた今、やり残しがあってはいけない。キッチンを軽く整えたら、テーブル周りのチェックもして、この後の予定も再確認して。珪の仕事が終わるまでに、出来ることは残っていないかと部屋を見回す。
（そうだ、お風呂掃除もしておこうかな）
浴室へ向かう前にスマートフォンを手に取ったが、珪からの連絡は無い。仕事が終わったら外で待ち合わせてイルミネーションを見に行こうという約束だけど、図書室を閉めるまで少し時間もあるから、掃除に取りかかっても大丈夫だろう。
服を濡らさないよう注意しながら浴室を洗い始め、綾花はふふっと笑みを零す。
こうして部屋の鍵を借りられたときは、珪に信頼されていることを嬉しく思った。けど本当に１人で入室するとなったときは、ちょっぴり緊張が勝って鍵を使うのも手が滑りそうだったのに。
それが今は、しっかりご飯を作って、お風呂も準備してるから――まるで新婚のよう、なんて思ってみたり。
（こんな日が、当たり前に……なるのかなっ!?）
シャワーを振り回すわけにもいかないので、ぐっと喜びは噛み締めるけど、心の内では期待が膨らんでいく。
彼と同じ家へと帰れる日が当たり前となるのは、ちょっと先なのか、だいぶ先なのか。
気にはなるけど、綾花もその日までに一人前にならなくてはと、予行演習として頑張った。
そろそろ珪も退勤する頃かと思って身だしなみを整えていると、何故かインターフォンが鳴る。
来客なんてないはずだし、宅配が来るとも聞いていない。勧誘かなと様子を窺うように玄関へ近づくと、今度はやや長めに鳴らされた。恐る恐るドアスコープを覗き込むと――綾花は勢いよく扉を開ける。
そこには、どことなく悪戯が成功したような顔をした彼がいた。
「珪さん!? えっ、もしかして私、連絡に……」
「あはは、してないよ。少しとはいえ、綾花さんを暗くて寒い中で待たせたくなかったし。それに……」
ちらりと部屋を覗き込んで、目を細める。珪の意図がわからない綾花は、未だ驚いて見つめ返すしかない。
「いや……うん。まずは――綾花さん、ただいま」
ここは珪の家なのに、という言葉は浮かばなかった。
インターフォンを鳴らしてまで扉を開けさせた意味は、今の一言に詰まっている気がして綾花は微笑む。
「おかえりなさい、珪さん。お仕事、お疲れ様です」
照れくさそうに笑い合っても、それ以上は何も言わない。部屋に入ればすぐ、綾花は「一息入れますか？」とカップを手に取るし、珪は荷物を置きながら「少なめでお願い」と声をかけ、当たり前に動いていた。
きっと、たぶん……なんとなくだけど、珪もこんな時間を願ってくれていた気がする。
ふんわりと温かで、ちょっぴりむず痒いような気持ちは、綾花を次の勇気へ踏み出させた。
「この後、ワインを選びに行きませんか？ 今日のケーキに合うものを探したくて」
小休憩を挟んだけれど、今から出かけたってイルミネーションは十分見られるし、店だって閉まる前に間に合うはず。でも、彼は快諾とはほど遠い思案顔だ。
「もちろん最初に飲むのは、珪さんが誕生日にくれたワインって決めてます。けど……参考に知りたいですし」
自分は飲まないと強く添えつつ、珪には美味しく楽しんでほしいと伝えるも、彼の思案顔はまだ晴れない。
彼と一緒にお酒が飲めるまで、残り半年を切った。もうすぐなようで、あともう一声。そのラインを我慢できないのではなく、彼の好きなものだから深く知りたい。
「ううん……興味を持って、やっぱり今飲みたいって言われたら……」
「なりませんっ！」
何度となく言ったはずだ。お酒はちゃんと、飲める日まで待っていると。
最初のお酒まで決まっているのだから、気持ちが揺らぐことは無いと真剣に珪を見つめれば、じぃっと問うような瞳が返ってくる。
それでも負けまいと見つめ返すと――珪は吹き出すように笑った。
「あくまで一般的な意見と僕の好みを前提とした話だし、色と香りを確かめても試飲できないけど……」
「構いません、それが知りたいです！」
前のめりになってお願いする綾花に苦笑する珪は、「店が入れてくれたらね」と軽い約束に留めつつ。どんなケーキを用意してくれたのかと聞き取りをして、あれこれ頭の中でマリアージュを組むのを楽しんだ。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2025年11月27日
- 参加申し込みの期限
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- 2025年12月04日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2025年12月04日 11時00分
