【星幽塔】グリフィンレイク王国物語～かわいいって言ったら負け｜リアクション

【星幽塔】グリフィンレイク王国物語～かわいいって言ったら負け

　子守たちに仕事をお願いした一月が終わり、エルディン王子はBarアストラルに向かうグリフィン便の後ろ姿に手を振っていた。吊られた籠の中から、ラッセルと晴月はちぎれんばかりに、想花と桜、美野梨はゆっくり、ティオレは背を向けたまま手を振り返してくれているのが見える。

「殿下、皆さまに支払った報酬は帳簿につけておきました。これで今日の書類はお終いですから、グリフィン達に会いに行ってもいいですよ」
「それはよかった。……でも、これを部屋に飾ってからにしようかな」
　王子は、眼鏡の文官に持っていた絵を広げて見せた。
「おや、これはなかなか……かわいらしく描けていますね」
　ラッセルが黒一色で描いたものを何枚か王子に贈ってくれたのだ。
「辛いこともあったあの子たちに、楽しい思い出を残してやりたい、んだってさ」

　――桜の出した餌皿に顔を突っ込んで、がっついているアルマ。
　――遊び疲れて、想花の膝ですやすや眠るロイ。
　――ティオレについてまわり、断られてもめげないスージー。

「スージーは本当に、ユリウェイスさんになついてましたね」
「そうそう。お別れの時も嫌がって、引き離すのが大変だったよ」

　その他にも、晴月の隠したおやつがどこにあるか当てたり、おもちゃの奪い合いをしているスキに、美野梨がすばやく記録をつけてしまう手腕などが柔らかいタッチで描かれていた。
「はぁー、でも、この可愛い時ってすぐ過ぎちゃうんですよねー」
「そうだな、みんなすぐ大きくなっちゃうから」
　二人は深く頷いた。
　
◆

　足下を何かが通り過ぎるような感触に、桜は思わず飛び上がった。
「……あれ？　さっきまでグリフィンの赤ちゃんと……」
　桜がいるのは寝子島高校の教室で、今がちょうど放課後になったところだということは、すぐに分かった。

「ねぇ、桜。今日はどうする？　久々にアクセサリーのお店に行く？　それともカラオケ？」
「そうだなぁ……」
　友達の言葉に席を立ち、かばんから何となくスマホを出そうとすると、ひらひらと鳥の羽が落ちた。
　ネットで調べると、鷲の羽根のようだ。
「うーん、鳥の羽を使ったアクセサリー作りとか、いいかも」
「なるほどね！　今日確かセールの日だよ」
「ほんと？　やったー！」
　友達と連れ立って歩く夕空の太陽は、グリフィンの瞳のような金色に輝いている。

（私、なんでこんなこと知っているんだろう？）

　桜は少し不思議に思ったものの。
　指先で羽根を振りながら、アクセサリーのデザインを考えることにした。

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あとがき

担当マスター：陣杏里
ファンレターはマスターページから！

皆さま、こんにちは。

ご参加下さいました方の、赤ちゃんグリフィンと戯れるアクションをたのしく書かせていただきました。
私たちの世界で、実際にライオンを飼おうとすると、そりゃあもう檻とか扉とか役所への届とかが大変なんでありますが、らっかみ！のシナリオではまったく気にしなくていいんです！

わたくしにとっては二つ目となる星幽塔のシナリオ、エルディン王子にかまって下さってありがとうございました。
皆さまに楽しい時間を過ごしていただければ幸いです。

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