プレハロウィンの『福？袋』｜リアクション

プレハロウィンの『福？袋』

◆コスプレ衣装の使い道

　ハロウィンも間近に迫った、ある日曜日。
　朝鳥さゆるは自室で目を覚ました。差し込む朝日に目を細める。隣を見るといつもは寝ている姫木じゅんの姿が無い。

（そうか、日曜日か）

　さゆるが体を起こしてリビングに向かうと、予想通りじゅんが座っている。もうすぐ『ニチアサ』の時間だ。さゆるはじゅんの隣に座ると一緒にリアルタイムで視聴する。見終わったら感想会もほどほどに、録画しておいた今期のアニメを再生。これだけで午前の時間はだいぶ潰れる。
　それが済んだら、さゆるは朝昼兼用の軽い食事を作り、その他の家事や買い物、大学の課題などをするのが日課だ。

「よし、こんなところね」

　一区切りついたところで時計を見るとお昼を少し過ぎていた。さゆるは買い物に出かける準備を始める。するとじゅんも一緒に行くと言い出した。

（珍しいこともあるのね）

　さゆるが頷いてから準備を始めたじゅんを急かしつつ、２人で家を出た。キャットロードへ食料品を買いに行ったら、世間はすっかりハロウィン一色だった。

「今度の『プロムナード』もハロウィン企画をするんだったっけ」
「そうそう」
「これだけハロウィンで盛り上がってたらするわよね」

　プロムナードとは彼女たちが勤めているキャバクラだ。店としても季節のイベントには乗っておきたいのだろう。食料品以外にも日用品なども２人で必要なものを思い出しながら買っていく。ついでにハロウィンにちなんだ福袋があったのでいくつか購入してみた。

（じゅんがせがんだのもあるけれど）

　もしかしてこれを買うために一緒に来たのだろうか。一瞬さゆるはそんなことを思った。
　帰宅後。買ってきたものをしまったら、２人で福袋をチェックする。雑貨屋の福袋には、ハロウィンペナント、ハロウィンコスの猫ぬいぐるみ、そしていくつかのアクセサリー類。だいたい予想の範疇に収まった結果だった。
　そして気になっていたコスプレグッズの福袋を開ける。
　さゆるの袋には魔法少女の衣装が入っていた。しかも魔法のステッキまで付いている。じゅんのほうにはお姫様の変身セットがお手軽なティアラとともに入っていた。２人は思わず顔を見合わせた。

「このコス、どうしようか」
「イベントのときに２人とも店で着たらいいんじゃない？」
「そうしようか」

　イベントで着ないと、この衣装を着る機会を逃しそうだ。店に着ていったときの皆の反応を思いながら、そっとしまった。

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