ある休日の一日｜リアクション

ある休日の一日

「暑いなあ……溶けちゃうよ。どこかで一休みしなきゃ駄目だあ……」
　燦々と日光降り注ぐ外を足取り重く歩いていた日暮ねむるは、ある看板に目を止めた。
　パン屋だと分かるや否や、一休みするため足を踏み入れる。
「こんにちわー……うん、パンの良い匂い。よだれ垂れそうだよ」
　時刻は12時。
　人気のある店なのか、店内には客が多い。
　ねむるはトングを持ってパンの前に立った。多くの種類は選択を迷わせる。
「とりあえず、クロワッサンとチョココロネ……」
　食べたいものを呟きながら、視線を彷徨わせ探す。
　飲み物は迷うことなく大好物のコーヒーで。
「ん？」
　ねむるは『サーモンサンド』に注目した。
　パンやサーモンの状態を選択できることも含め、食べたことがないものだ。
「マリナさん、サーモンサンド。スモークサーモンとライ麦パンでお願いできますか？」
　レジで会計を済ませると、トレイを持って飲食スペースに向かう。
　店外は暑いので店内の席を。
「よし、いただきまーす……」
　焼き立てのパンは温かく、柔らかい。それがまた旨味を引き出す。
　それからお約束の……大好きなコーヒーを口に含んで、ねむるは満足げな表情を浮かべた。
　やっぱりコーヒーとパンの相性は抜群である。美味しいパンが更に美味しくなった。
　そして食べると眠くなるのもお約束。
「ちょっとだけ一休み……」

　ねむるがはっと目を覚ますと、時計の針は15時を回っていた。
　寝すぎたことに内心慌てながら、お店に迷惑かけたかもしれないと申し訳ない気持ちになる。
　とりあえず店を出たほうが良いと判断し、急いで立ち上がってトレイを返却する。
「あ、そうだ。忘れてた」
　ねむるは店のドアに向けた足をレジへと戻した。
「友だちにおみやげ、ジャム買って帰ろっと」

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