寝子島ラーメン戦争｜リアクション

寝子島ラーメン戦争

　熱いシャワーで体が温まっているうちに、体を拭いて制服に着替え直した中倉琉歌は部活メンバーの何人かと寮へ帰ることにした。
「琉歌ー、行こ～」
「ああ、待って待って」
　学校を出て歩き出す。
「はあ、今日暑かったから汗かいた～」
「うんうん、汗だらだらだったよね」
　部活メンバーがそう言った時、琉歌のお腹がぐうっとないた。
「！」
　心地よい疲労感に浸っていて油断していた。
「あはは、お腹空かない？」
　琉歌がそう言うと、皆はくすくすと笑いながら、それぞれ頷いた。
「寮まで絶対もたないよね」
「うんうん。琉歌は？　何が良い？」
「うーん」
日中は気温が高めだったが、今は日が落ちそうで肌寒い。
「！」
　ふと綺麗な看板が目に入った。ガラス張りのおしゃれな建物である。『Ramen RANRAN』
という店らしい。
　皆で話し合い、この店のラーメンにすることにした。
（うわ、オシャレ！）
　まるで、都会のカフェのようだ。そして驚いたのが、店主が女性だったこと。
「いらっしゃいませ」
にっこりと笑う彼女は、かなりの美人である。
　ここにいるメンバーは全員女子なわけだが、揃って見惚れてしまった。
「お席へどうぞ？　……どうかしましたか」
　琉歌ははっとした。
「すみません！　ラーメン屋さんってなんかこう、腕組んだおじさまがやってそうな感じなので！　偏見ですけど」
「ふふ、ここはちょっと雰囲気が違うかもしれませんね」
　そんなやり取りもそこそこに、全員で席へ。
「どうする？」
「塩がおすすめなんだ。私は『AWAYUKI 塩』かな」
　琉歌が言うと、皆もそれにするとのことだった。初めての店はおすすめが良いのは、そう。
しばらくしてラーメンが運ばれてきた。
「うわ～」
スープが透明感があって、それになかなかいい香りがしている。トッピングはデフォルトでチャーシューにメンマ、海苔、半割の卵である。
「めちゃくちゃ美味しそう！」
　思わずスマホで写真を撮ったメンバーもいた。
「いただきます」
琉歌はさっそくスープを一口。味というより、香りの方が先に口の中に広がった。さっぱりだが濃い目だ。
（あ、おいしい）
　麺を噛むと、良く絡んだスープの味が混じって非常に美味だ。皆夢中で麺をすすり、あっという間に食べ終えてしまった。
「美味しかった～。なんだろ、塩ラーメンてこんなに美味しいんだ」
醤油が主流だし、味噌や豚骨もそれぞれ好きな人は多いが、塩ラーメンはぱっとしないイメージがある。もちろん、美味しいのだけど。
　琉歌は皆を見回す。皆満足そうに麺をすすっている。
（よし、せっかくだし）
　琉歌は店主に向かって挙手をした。
「あの、すみません。替え玉できますか？」
「はい、大丈夫ですよ」
　皆が一斉に琉歌を見る。
「大盛り、極細縮れ麺で一部太麺混じり。味玉、チャーシュー入りで！」
　替え玉カスタムメニューなるものがあったので、注文してみた。
「二杯目行った方が良くない！？」
　皆の突っ込みが同時に、琉歌へ向けられたのだった。

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