まとめてハッピーバースデー♪　４月から６月まで☆｜リアクション

まとめてハッピーバースデー♪　４月から６月まで☆

　4月20日は朝鳥さゆるの19歳の誕生日です。
　しかし特別な予定はなく、さゆるは普通に大学へ行きました。

　そして大学が終わるとそのままキャバクラ『プロムナード』にてキャバ嬢さゆみとして店に出るのでした。
　と言っても働きだしてから1カ月もたっておらず、他の嬢のヘルプばかりで指名はまだありません。
「すぐに指名が来るわよ」
　同僚であり恋人であるまみ子こと姫木じゅんにもそう言われており、焦るつもりはありませんでした。

　その時は突然訪れました。
「さゆみさん、５番テーブルご指名です」　
　事態を理解するのに、一拍かかりました。
（いつかはこの時が来るとは思っていたけど）
　さすがに初指名は緊張します。
　行ってみると、この前ヘルプでついた見覚えのあるお客でした。
「まみ子、ヘルプに入ります～」
　大丈夫よ、というようにじゅんがこちらに目配せをしました。
「いらっしゃいませ」
　緊張を表に出さないように、できるだけ自然に振舞います。
（愛嬌を振りまいたりする接客はあたしにはできない）　
　お客の話に静かに相槌をうちながら、お酌をしたり煙草にライターで火をつけたり。
「大人っぽく見えるのに、擦れてないよね」
　お客様は満足してくれたようで何よりでした。
　そこへじゅんが声をかけます。
「今日はさゆみの19歳のお誕生日だよー」
「ほう、それはめでたいね。それじゃお祝いしなきゃね」
　お客様は一番高いボトルを入れてくれました。
「……ありがとうございます」
　さゆるはまだお酒を飲める年になっていないので、好意だけありがたく受け取っておくことにしました。
「さゆみの分はあたしが飲むね～」
　じゅんが笑顔でグラスを傾けます。

　店を終え、ふたりで帰宅すると午前0時過ぎでした。
　シャワーを浴びてから早めに寝よう、と思っていると、じゅんが近づいてきました。
「はい、バースデープレゼント」
「えっ」
　渡された包みを開いてみると──綺麗な緑の翡翠のついたブレスレットが入っていました。
「お守りよ」
　じゅんの目を見れば、どんな気持ちで選んでくれたのかわかりました。

　さゆるはブレスレットを受け取り、微笑を浮かべ口を開きました。
　少し声が詰まっていましたが、それを隠そうとは思いませんでした。

「ありがとう、じゅん……これ、一生大事にさせてもらうわ」

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