待ちに待ってた、海開き♪｜リアクション

待ちに待ってた、海開き♪

◆夏のフルコース

　えみなハルくんはだんだん近づく海岸の景色にワクワクを隠せなかった。

「うみだにゃ～～～～～～～！！」

　海開きの日をずっと心待ちにしていた。その気持ちが自然と声に乗っている。
　さっそく更衣室に入ると水着を取り出す。オレンジ色に肉球の白が映えるデザインだ。着替え終えるとすぐさま海に向かって駆けだした。ハルくんはばしゃばしゃと元気に泳ぐ。といってもきちんとした泳法ではない。

「ねこかき、ねこかき……イルカさんいるかにゃ？」

　見た目は犬かきに似ているが、ねこかきと呼んでいる。猫パペットの付喪神なので、そのほうが自然かもしれない。気ままにねこかきで海を進んでいると、どこからか迷い込んだイルカが見えた。

「こんにちはーなのにゃ！」

　言葉は分からないが、イルカも反応してくれた。少し戯れたあと、イルカは遠くへと去っていった。

「ばいばいなのにゃ！」

　イルカと別れた後もしばらく海で泳いでいたら、視線の先にアスレチックが見えた。それに気づいた途端、ハルくんの目がきらきら輝いた。
　すぐさま向かおうとフロートの桟橋を通り、大型アスレチックへ。シーソーやトランポリンにスライダー。ターザンロープ、クライミング。そして先ほど見えていた水上ジャングルジム。ハルくんはそれらを全力で楽しんだ。いつまでも遊んでいられる気がしたが、だんだんお腹が空いてきた。時計を見るとお昼時だ。

「海の家でラーメン……にゃ？」

　浜辺に目を向けると『焼きそばグランプリ』の看板が見えた。全国のご当地焼きそばやオリジナル創作焼きそばが集っているらしい。

「焼きそばグランプリ……夏は焼きそばもおいしいにゃ」

　ラーメンのつもりが気づけば焼きそば店の前に来ていた。個性豊かな焼きそばが並ぶなか、普通の美味しそうな焼きそばを１つ買った。
　
「にゃー、おいしいにゃー！」

　歯ごたえのある野菜、しっとりとした肉、ソースに絡む麺。まさに基本に忠実な焼きそば。でもその普通さが夏の雰囲気に合っている気もした。

「あっ！　しまった！　あとで２人とお昼の予定だったのにゃ……」

　今回は３人で来ているが、女子２人組は別行動。昼ご飯で合流するつもりだったが、焼きそばの誘惑に釣られてしまった。

「……ラーメンは明日以降のお楽しみ、にゃ！」

　２人と合流したハルくんは一言謝りつつ、焼きそばの感動を伝えた。２人はハルくんとは別の焼きそばをそれぞれ買って、３人でシェアした。食べ終わるとハルくんはすぐさま駆けだした。

「この後も楽しむにゃー！」

　それから帰る時間になるまで存分に海を満喫した。

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