待ちに待ってた、海開き♪｜リアクション

待ちに待ってた、海開き♪

◆２人で過ごす海開き

　綾辻綾花は早川珪先生とともに寝子ヶ浜海岸へやってきた。今日から海開きの日ということで水着も持参している。

「水着のレンタルもできるんですね」

　いくつか海の家があり、飲食物の提供だけでなく水着の貸出も行っているようだ。

（これなら持ってこなくてもよかったかもしれません）

　それぞれの店舗ごとに水着の個性も出ている。しかしよく見るとメイド海の家『マーメイド』はセクシーで際どい水着ばかり扱っている。

（セクシーな水着……もし珪さんに見たいって言われたら着ちゃうかもしれません。でもかなり際どいから、胸がこぼれそう。珪さん以外に見られるのは……）

　綾花は脳内で考えを巡らせる。珪先生はそんな彼女の様子が気になったのか声をかける。彼女はそっと『マーメイド』を指差しながら小声で尋ねた。

「珪さん、見たいですか？」

　質問の意味を理解した珪先生は少し考える素振りを見せた。彼は否定こそしなかったが、今日綾花が用意した水着のほうが楽しみだと答えた。その言葉に綾花は微笑みを浮かべた。
　一旦それぞれ更衣室へ分かれて。着替え終えてから合流する。珪先生は水着姿の綾花を純粋な気持ちで褒めた。

「ありがとうございます」

　こういう言葉はいつもらっても嬉しい。それから２人は『ビーチアスレチックエリア』へ向かった。海岸からフロートの桟橋を通っていけるようになっている。トランポリンで無邪気に飛び跳ねる２人。夢中になっていると綾花がふとバランスを崩した。珪先生は思わず彼女を受け止める。

「すみません、弾むのが楽しくてつい」
「気にしなくていいよ」

　ちょっと失敗してしまったけれど子供に戻ったみたいで楽しい。それはきっと彼も同じだろう。
　続いてはスライダーを楽しむために階段を上る。地上から見るのと上から見るのとでは景色が違い、足が竦む。

「大丈夫かい？」
「珪さんと一緒なら大丈夫です。」

　自分たちの番が来て、いよいよ滑り出した。

「きゃー」

　最初から最後まで滑っている間はドキドキだった。珪先生と一緒だから怖くはないが、途中で水着が取れそうになるのに気づいた。慌ててしまったが、なんとか彼にしがみついて難を逃れる。その後も他のアスレチックを満喫し、気づけば帰る時間になっていた。

「また来たいですね」
「ああ」

　綾花は珪先生の腕に抱き着いて、嬉しそうに今日のことを振り返った。

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