this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム /
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
七月、世界が終わるなら
<< もどる
1
2
3
4
5
つぎへ >>
私たちは世界の終わりにキスをする
「いまひとつピンと来ないわよね。あと三日で世界は終わり、人類滅亡って言われてもさ」
初瀬川 理緒
は、天を仰いで人差し指を立てる。
そこには夜空が広がっていて、うっすらと天の川の星々も見えた。
「巨大な彗星が地球に直撃って」
いま空にある輝きのひとつが地球に落ちて、すべてを滅ぼしてしまうのだろうか。
ほんとうにピンと来ない。
「……あと三日で何もかもが強制終了ってことは、あたしと紗月の存在も消え去るってことよね」
理緒の隣には
佐和崎 紗月
がいて、一緒に星空を見上げていた。理緒は恋人を横顔を見つめ、そうなるとあたしたちが出会ってから今日にいたるこの日までの全てって何だったんだろう、と虚しくなってしまう。
「えー、なんかもう、涙も出てこないじゃん。紗月は泣いてもいいよ? あたしの感情が、バカになってるだけだろうから」
「理緒ちゃん。私も……自分でも意外なんだけれど、落ち着いてるよ」
「え、そうなの?」
「うん……だってこれからもう、ずーっと理緒ちゃんと一緒になれるから。どちらかが先に死んで一人残されるってことがなくなったから。だからもう怖くない。悲しくもない。むしろ晴れがましい気持ち」
「紗月……! そっか、そういう考え方もあるね。さすが紗月! あー、あたし、やっぱり紗月に恋してよかった! 紗月のおかげで前向きな気持ちになってきたよ」
理緒はにかっと笑って、両手で紗月の手を握った。
「あれこれ難しく考えても仕方ないよね。どうせ三日後には世界が滅ぶことは確定なんだから」
それならば――
普段通りに過そう。
そう決めたふたりは、滅亡カウントダウンの一日目、スケジュール帳にあったとおりに室内プールでの水着グラビアの撮影に向かった。
「……誰も来てないね」
「……ま、そうよねー」
マネージャーにスマホで連絡を入れてみたら、現場に行ったの!? と逆に驚かれた。
中止の連絡がなかったし、と言うと申し訳なさそうに「状況が混乱してて連絡し忘れました」と謝られたものの、仕事なんかないと思うのが当然だろうとも思っていたらしい。
ちなみに自分たち以外のスタッフは全員職場放棄したそうだ。
通話を切って顔を見合わせる。
「どうする理緒ちゃん。私たちも職場放棄する?」
「そうね、そうし……ません!」
「ません?」
「ほら、紗月。スマホ出して。自分たちで自撮りしよ、とびっきりの笑顔でね!」
ふたりきりで撮った写真を、自分たちのニャンスタグラムに投稿する。
「もしかしたら誰かがこれを見て心のなぐさめにしてくれるかもしれないし」
SNSも当然ながら、世界滅亡に混沌として、デマと絶望と謎の陽気さに溢れていたが、そのなかに撮れたてほやほやのグラビアガールたちの水着写真が投下されると、またたくまに好評を示すハートマークが増えていった。
「へへ。世界の終わりにちょっとだけ、いいことできたって気がするね」
「私たちにできるのはこんなささやかなことしかないけど……」
「いーのいーの。ささやかなことが、案外、大事なんだって!」
そんなふうにして一日目は終わり。
二日目はふたりで、適当に寝子島の島内を散策し、あんなことがあったよね、あそこでこんなことをしたね、なんて思い出を語って笑いあった。
鋲打ちの革ジャンを来た人たちが跋扈して、アニメで見るような世紀末な暴動でも起こっているかと思ったけれど、思いのほか街は平和で、理緒や紗月と同じようなことを考えたらしい人々が穏やかに思い出に浸っていた。
「ここだけ切り取ると、静かね……」
「日本は意外と普通にしたい派が多いみたいだね」
その夜は地球最後の夜だから、ふたりは寝る間も惜しんで、朝までとことん愛しあった。
きっと世界中の愛し合う恋人たちが、同じような夜を過ごしてるだろうね、なんて笑いながら。
そして三日目。
地球最後のその日、ふたりはシャワーを浴びて身を清め、部屋を片付けてから外に出た。
地球最後の日にシャワーが使えたということはよく考えると驚きだ。報道によると、水道や電気、医療や消防、ネット環境や報道などの生活インフラに関わる人たちの半数以上は、最後のときまで人類が人類らしい生活を送れるようにと仕事を全うすることにしたらしい。
「こうしてみるとさ、この世界はありがたいことでいっぱいだね」
理緒は二人で暮らしたメゾネットタイプのアパートを振り返る。
紗月はそっとアパートに向かって両手を合わせた。
「紗月?」
「アパートに、ありがとう、って言ってたの。短い間だったけど、お世話になりましたって」
理緒と暮らしたこのアパートにはいろんな思い出が詰まっている。
名残惜しい気持ちはあるが、だからこそ、ここは聖なる場所として大事に閉じておきたかった。
ふたりはしばしアパートに手を合わせてから、どこで最期を迎えようか、と歩きだす。
「私は……理緒ちゃんといっしょなら、どこでもかまわないわ」
「あたしだってそうだけど。でも、せっかくなら素敵なところで……」
そんなことを話しながら歩いていて、ふと目に留まったのは、白いチャペルのある結婚式場のまえだった。扉の前には張り紙があって『ウェディングドレス無料で貸し出し。礼拝堂も自由にご利用ください』と書いてある。顔を見あわせ、扉を押してみる。カギはかかっていなかった。
「こんにちはー」
しんとしている。
無人のようだ。
式場のスタッフはいなかったが、純白のウェディングドレスたちは整然と並んで着てくれる人を待っていた。
壁にはまた張り紙がある。
『お気に召したらそのままお持ち帰りいただいてもかまいません』
言葉こそ丁寧だが、どこか投げやりなかんじもする張り紙だった。
「どーせもう着る人もいないし、持ってけドロボーってこと?」
呆れればいいのか、親切に感謝すればいいのか、よくわからないわね、なんて笑みを浮かべた理緒の袖を紗月が引っ張る。
「理緒ちゃん」
「ん?」
「……これがいい」
「これ? ああ、ウェディングドレス? 着てみたい?」
紗月はこくりと頷いた。
そうして理緒をじっと見つめる。
ただ着てみたい、というわけじゃないんだよ、という想いを眼差しにこめて。
理緒は、紗月の意を汲んで、そっと肩を竦めてみせた。
「そうだね。――ウェディングドレスを着て一緒に逝こっか」
互いに似合うドレスを選びあって、礼拝堂で着替えをする。
礼拝堂のキリストの足元にお礼の書き置きをして、ふたりはドレスのまま寝子ヶ浜海岸へ向かった。
海も空もまっさおで、怖いくらいに美しかった。
白いベールを、潮風が揺らす。
「理緒ちゃん……私は、あなたを永遠に愛することを誓います」
「紗月。あたしも誓う。病めるときも健やかなときももうないけど、永遠はあるかもしれないもんね」
海だけが、愛の証人だ。
ふたりは海に見守られながらキスをした。
幾度目かももうわからないほど交わしたキスなのに。
こんなに潮っぽい味がするキスは初めてだった。
理緒の手が紗月の肩に回される。
紗月の手は理緒の腰に回される。
互いで互いを引き寄せあい、キスを深めてゆくふたりはまるで、砂浜に咲く純白の薔薇のようだった。
「離れないで、理緒ちゃん」
「離れないよ、紗月」
ふたりは空から来たる隕石に見せつけるかのように、かたく抱きあい、またキスをして――。
――そのときを、迎える。
<< もどる
1
2
3
4
5
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
七月、世界が終わるなら
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
6人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年06月26日
参加申し込みの期限
2025年07月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年07月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!