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終わらない宇宙
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27分後に宇宙は消滅すると聞かされていたが、時計の針は30分の経過を示していた。
「助かった……んでしょうか?」
「どうやら、そのようだ」
綾辻 綾花
は
早川 珪
を抱きしめたまま、そして珪はその腕に綾花を包み込んだまま、もうしばし硬直していた。しかし空の明滅はすっかり止み、かがやく青空を地球が取り戻すとあらためて、喜びを爆発させた。
「生きてて良かった……珪さん……!」
「ああ。ああ……!」
どんな因果によるものかは分からない。宇宙の深淵は遠く壮大だ。ちっぽけな人間には知る由もないことだろう。その必要もない。我々はまた、この大宇宙の一画で小さな生を存分に謳歌することができるのだ。
大宇宙時代の訪れは程なくして起こった。深淵からの旅人たちがもたらした技術によるテクノロジーのブレイクスルーが地球人へ、未知なる世界へ旅立つための翼を与えたのだ。
「新婚旅行が宇宙だなんて。こんな時代が来るとはね」
黄色い車のハンドルから宇宙船の操縦桿へと持ち替えた珪は瞳を輝かせ、綾花はくすりと笑む。男の子はマシンに弱いのだ。
彼が操縦桿を引くと音もなく離陸し、あっという間に宇宙へ飛び立つ。新婚旅行の始まりだ。
先だって二人は、二人だけの結婚式を挙げた。誰もいない星ヶ丘教会はだからこそ荘厳な静寂に包まれていたものだ。地球の終わりを見越しての挙式だったが、その儚き美しさが薄れるわけではなく、加えて道の繋がりや未来に思いを馳せる楽しみも生まれた。
「星が綺麗ですね」
「まるで星の川を下るみたいだ」
星の灯りを、左手の薬指にはめた指輪が照り返す。
ある程度宇宙を進むと珪の手を離れ、AIおまかせ操縦によって二人の好む星へと自動的に連れて行ってくれる。簡単に条件を入力したのみだが果たして、どんな場所を案内してくれるのだろうか。
それから数時間を経て(その間、船内で二人が何をしていたかは秘密だ)、宇宙船はやけに緑がかった惑星へと到着した。パステルカラーで、ほわほわとしていて、何だか……綾花の心を弾ませた。何故だろう。
その理由はすぐに分かった。
「あらまぁ、可愛い! あなた地球人ね、そうでしょう?」
「にゃ……にゃんこです。珪さん、にゃんこの宇宙人です!」
そこは進化した猫が治める星、猫の惑星だったのだ。あっちにも猫、こっちにも猫、どっちを向いても猫だらけであった。
「ねぇ、地球じゃ猫が愛玩動物って本当? 何だか信じられないわ」
「えっと。その。あはは」
思わず苦笑いを浮かべた。
猫たちはすらりと立って歩き、言葉を話す。翻訳機を通じてその意味は分かるが、特筆すべきはその歌うような響きだ。にゃあ、にゃあと何とも愛らしい。
星の大地は淡いエメラルドグリーンで、スポンジのように弾力があり柔らかい。そこへ猫たちは、軽くて丈夫な建材で作られた丸っこい家々を建て、慎ましやかに暮らしているようだ。もっとも近年はこのように異星からの旅人たちをも受け入れ、観光にも力を入れているらしい。
「もしかしてあなたたち、番かしら? カップルよね?」
出迎えてくれた白い雌猫は楽しそうにそう言い、この惑星の楽しみ方を教えてくれた。
「南へ行くと古い寺院があるんだけど、そこに建ってる大きな鈴を鳴らすと、縁結びのおまじないになるのよ。運が良ければ、ちょっとした奇跡も見られるかも」
「わぁ、本当ですか? 珪さん、縁結びですって!」
新婚夫婦の絆を深めるのに、これほどふさわしいイベントはなかろう。
六輪車を借り、珪の運転で南方へ。車は車輪が深く沈みこむようにできていて、柔らかい土をしっかり掴んで安定した走りをしてくれるから安心だ。桜色の川を横目にひた走り、四枚の翼を持つ美しい鳥たちの飛翔を目にして、綿飴みたいな雲を帽子よろしくかぶった山へと向かう。寺院はそのふもとにあるという。
「あっ、見えました! きっとあそこです」
「すごいな。思ってたより大きな建物だ」
寺院は猫の住む家々と似た様式で丸っこく、そこかしこに彼らの祖先であろう綾花も見慣れた猫の姿がレリーフとして刻まれている。それに向かって拝む猫たちの姿や、綾花らのように惑星外から来たのだろう異星人たちの姿もちらほらと見られた。
「あれが例の鈴かな?」
「お、大きい……!」
地球でもおなじみ、猫の首輪につけるような鈴を数百倍にも拡大したかのような巨大な鈴が吊るされていた。目的を同じくする者たちの列に並び、順番を待つ。
胸を高鳴らせながら待っていると、順番が回ってきた。珪が綾花の肩を抱き、綾花はうなずいて鈴から伸びる紐を握り、思い切って鳴らした。凛、と涼やかな音がどこまでも、どこまでも伸びて広がってゆく。
その時だった。
「わ……!?」
「あ、あれは……魚? 鯉?」
山にかかる雲の向こうからまだら模様の、そう確かに鯉のような、空を覆わんばかりの巨大魚が姿を現した。魚は鈴の音を堪能し同調するようにしばしヒレや髭を震わせていたが、やがて空気を揺らしながら尾を一打ちし、空へと昇ってゆく。
「あんたたち、ツイてるねぇ。守り鯉が姿を見せてくださるなんて」
「守り鯉……?」
「普段は宇宙からこの星を守ってくれているんだが、時おり鈴の音に惹かれてね、ああして降りてくるんだ。縁起物だよ」
黒ぶち猫がそんな風に教えてくれた。鯉の滝登りならぬ空登りとは確かに、地球人で日本人な二人にはすこぶる縁起が良い。
「いいものを見たね」
珪が肩を抱く手が少しばかり力を帯びて、胸の中へ綾花をいざなった。柔らかな微笑みを綾花は見上げ、ふと背伸びをして唇に唇を押し当てる。とろけるような笑みを返し、瞳は結ばれ、綾花の胸は満たされた。
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あとがき
担当マスター:
網 透介
ファンレターはマスターページから!
網です。
地球が終わらなかったお話でした。
宇宙のどこかにいるだろう異星人たちへ思いを馳せる時、ついつい人間や地球の発想力で考えてしまいますが、実際のところどうなんでしょうね。
地球の言語では言い表せないような形をした生き物が、ある日突然地球にやってきたとしたら、それがとんでもなく腰の低い友好的な生き物だったとしたら、我々はどう対応するのでしょう。
人は見た目に寄らないと言いますが、果たして……なんて、考えてしまいますね。
それでは、また次回に。
網でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年02月28日
参加申し込みの期限
2025年03月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年03月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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