にゃあかわ　～なんかねこっぽくてかわいい連中～｜リアクション

にゃあかわ　～なんかねこっぽくてかわいい連中～

その日、綾辻綾花は恋人の早川珪とデート中だった。
「ニャレバン？」
　これから向かう場所について話すと、珪が首を傾げた。
「はい、チラシが入っていて、行きたかったんです。付き合ってもらってありがとうございます」
「僕は構わないけど」
　店について二人で中へ入る。入口のすぐ近くに目当てのグッズが並んでいた。
「か、かわ」
　綾花は目をきらきらさせて、にゃあかわグッズに魅入る。
「珪さん、にゃあかわです！」
「へえ、これが人気の」
「チラシに載ってたブックカバー欲しかったんです。みんなで本を読んでるバージョンとみんなで本を枕にして寝てるバージョンがあって可愛くてすごく欲しかったんです。
文庫サイズで持ち歩きやすいですし、ミステリー小説読んだ後にカバー見るとほっこりしそう。色違いもあるんですよ」
　ついにゃあかわグッズについて語ってしまった綾花は、はっとした。
「あ、その」
　珪はくすくすと笑った。
「売り切れてなくて良かったな」
「は、はい」
　少し恥ずかしくなって、二種類のブックカバーを手に取った。
「珪さんにはこれ、どうですか？」
　お揃いだが、シルエットバージョン。赤と黒のクールなデザインで大人っぽい。よく見ないとにゃあかわグッズとは気づかないだろう。
「へえ、こんな色もあるんだ」
　淡い色調のキャラクターなので意外だったようだ。
「お揃いで買いませんか？」
「ああ、良いな。まさか僕がにゃあかわグッズを買うことになるなんてな」
　にゃあかわグッズを持っている珪。なんだか可愛いと思ってしまった。
　二人で購入し、店を出たところで、何やら包装紙の封筒を渡された。
「これは？」
　中にはカバーとお揃いの栞が入っていた。はっとして珪を見る。
　彼はシルエットにゃあかわの栞を持っていた。
「あ、ありがとうございます。こんななんでもない日に、良いんですか？」
「安いものだから」
　プレゼントらしい。
　綾花は栞を抱きしめて、嬉しさを噛みしめた。
　珪からもらったものは、なんでも嬉しいのだ。ここへ来てよかった。

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