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続・『ねこのしま』にて
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声をあげたのは幸次ではなく瑛美だった。
「そんな!」
しばし絶句したのち、絞り出すようにして言葉をつなげた。
「そんなことって……!」
「ごめんね、成子さん。この考えを口にしたのはいまがはじめて。百瀬さんにも明かしていない。今日、もうそうするしかないってやっと判断がついたから」
冱子の瞳には昏(くら)い影が差していた。だが、そこからにじむのは迷いではなく、清々しさに近い何かだった。
少なくとも、幸次にはそう見えた。
鈴木さんのことだから、きっと、即決したんじゃないはずだ。ずっと悩みに悩み抜いて……とうとうその結論に達したんだと思う。
だから反対の声をあげたりはしなかった。鈴木さんが言おうとしていることを、まず聞こうと幸次は決めた。
「成子さんは気づいているでしょう? 『ねこのしま』の経営状態が、かなり良くないことを。給料の面では、あなたたちにも迷惑をかけてきた。でもみんな、不平も言わず協力してくれたこと、本当に感謝してます。ここまでやってこれたこと、墜落寸前ながら低空飛行をつづけてられたのもそのおかげ」
冱子には、口調や表情以上の思いがあるように幸次には見えた。
「でも……このままじゃ、猫たちを守れなくなる。いよいよ限界になる前に、引き上げようと決めたの」
血を吐くように言い切って、冱子は顔を上げたのである。
「だから保護猫カフェは五、六ヶ月先をめどに閉店を考えてる。NPO法人も解散の手続きに入ります」
わっ、と声を上げて瑛美が顔を覆った。冱子は下を向いたままだ。
閉店……!?
幸次はめまいを感じている。経営状態はおそらく、それほど良いとは思わなかった。でもここまで危機的状況だとは想像していなかった。
梅を助けてくれたのは『ねこのしま』だ。
梅だけじゃない。『ねこのしま』はこれまでもたくさんの猫を助けて、たくさんの命をつないでくれたんだ。
だから『ねこのしま』の……鈴木さんの窮地を、俺は黙って見ていられない!
「……それでも」
と幸次が声を上げたので、冱子は顔を上げた。
「お願いしたいです。アルバイト、させてください」
どうして、と言わんばかりの冱子に先んじて回答する。
「そこまでする理由ですか? 猫たちとこのお店の役に立てるならって思ったので。俺が知ってる人の中で、鈴木さんは誰よりも猫のことが好きで、ずっと一生懸命で、すごく尊敬しています。たとえ閉店が避けられないとしても、最後まで鈴木さんやお店の猫たちを支えたい…ってなんか偉そうですけど、本気でそう思ってます」
「さっき話したでしょう? 給料がまともに払えるかすらわからないのよ」
「ボランティアになっても全然気にしないです!」
勢い任せの発言ではない。迷うことなく幸次は言い切った。そもそも、お金を稼ぎたいという気持ちはないのだ。純粋に、ここのスタッフになりたいと願ったからこそ志望したのだ。
「閉店については予定っていうだけで、絶対にゆるがない決定じゃないんでしょう? 写真や動画を使ってニャンスタとかMewTubeで宣伝とかできます!」
「ニャンスタ、って何? MewTubeって動画サイトだっけ……?」
冱子はSNSに詳しくはないようだ。というよりはむしろ、ほぼ知らないと言ったほうが近いだろう。そもそもカフェ『ねこのしま』にはまともな公式サイトすらない。譲渡会についてはネット情報も出すが、それとて寝子島町行政に頼っているだけだった。宣伝力という意味では決定的に弱い。その部分については貢献できると幸次は思う。
「俺、がんばります。だから……」
と言ってもう一度、直角以上の角度で幸次は頭を下げた。必要というなら、土下座だろうが五体投地だろうが躊躇なく行っただろう。
「どうかお願いします!」
――?
足首に、すりっとした感触があった。
「イト……?」
キジトラ猫が来ていたのだ。頭をすりつけて親愛の情を示している。
顔を上げて幸次は気づいた。あの猫もいる。この猫もいる。もちろん小倉も。なんと『ねこのしま』じゅうの猫が「なんだなんだ」と言わんばかりに集まってきていたのだった。あのお客さん――根積まで来ているではないか。
「申し訳ないですが、さすがに『立ち聞きしてません』という風はもうできそうもなかったので」根積は言った。「あ、私、
根積 宏一郎
と言いましてね、私立探偵をしています。おっと、こんな情報どうでもいいですね。いま私は、単なる客でしかないですが、職業病でしょうか、小倉さんと遊びながらも聞き耳を立ててしまって……お恥ずかしい」
しゃべりだすと止まらないタイプのようだ。根積は立て板に水のごとくづつけた。
「鈴木代表、私からもお願いしたいのですが、彼、万条さん、どうか雇ってあげていただけないでしょうか。たとえ半年後に閉店だとしても、百瀬さん、あの方の抜ける穴を埋める人材は必要なわけです。私、ギャンブルは全然ダメでして宝くじどころか年賀ハガキだって当たったためしがないような人間なので、こんなことを言うのはおこがましいのですが、賭けてみませんか? 万条さんに。私にとっても『ねこのしま』はかけがえのない場所です。ここがなくなっては、困る。困るどころか病むかもしれない。なので裕福ではないけれど、援助が必要なら申し出てください。させてほしいんです。ああいっそ、クラウドファンディング、つまり、インターネット上で広く出資者をつのるシステムを利用してもいいかもしれませんね。どうかどうかご一考を。言えた義理じゃないですが、私からも、お願いします」
根積もまた、冱子に深く頭を下げたのだ。
根積が一気呵成にしゃべりたてたものだから、幸次はぎょっとした。それでも、彼が応援してくれていることはわかった。多弁だが、嘘はないように思えた。
幸次と根積だけではない。瑛美も頭を下げていた。猫たちも、声ひとつあげず神妙にしている。
その場に静寂が満ちる。数秒の間をおいて、冱子が告げた。
「……ありがとう」
どこか、張りつめた空気をほどくような声だった。
「万条君、採用よ。成子さんも根積さんも顔を上げてください。解散については取り消しとはいかないけれど、あと数ヶ月、回避できるようできることはやってみたいと思います」
冱子はすでに決心したらしい。いつもの落ち着いた口調に、迷いは感じられなかった。
「万条君、給料、払えるよう最大限の努力はするけど、万が一のことは考えておいてね。シフトに入れるときからでいいから、百瀬さんから引き継ぎをお願いします」
幸次は、まるで雷に打たれたような気がした。
「鈴木さん!」
感極まって声をあげる。瑛美はすでに嗚咽を漏らしていた。
「よろしくお願いします!」
心が熱い。込み上げるものを必死にこらえる。だが、ここで浮かれてはいけない。
自分が採用されたからといって、すべてが劇的に変わるわけではないだろう。そんな都合のいい話があるはずもない。
だからこそ――だからこそ、やらなければならない。
『ねこのしま』のために。
梅のために。花遊のために。
すべての猫の未来のために。
――続・『ねこのしま』にて 了
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あとがき
担当マスター:
桂木京介
ファンレターはマスターページから!
マスターの桂木京介です。
万条幸次様、あらためまして、リクエストありがとうございました!
プライベートシナリオ恒例、個別メッセージはボーナストラック的に長め(制限文字数上限ギリギリ)で書いております。とりとめのない話ですが、楽しんでいただければ幸いです。
つづきはコメント欄で! 桂木京介でした!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年02月08日
参加申し込みの期限
2025年02月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年02月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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