this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム /
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
続・『ねこのしま』にて
<< もどる
1
2
3
4
つぎへ >>
「あ、鈴木さん!」
幸次は反射的に立ち上がると脚をそろえ、「おじゃましてます」とあまりカフェの客らしくないあいさつをする。
入れ替わるように百瀬が、「それじゃ私はそろそろ」とドアに向かった。「店長、お疲れさまです」
「お疲れさま」
去りぎわ、百瀬はちらっと幸次を振り返って意味深に目を細めた。
「万条君も、またね~」
その視線がすべてを物語っている。『バイトの話、きっとOKよ!』とでも言うように。
イトも、挨拶がわりに冱子の脚に体をすりつけると、ふっと姿を消した。
気がつけば、店内には幸次と冱子のふたりだけが残っていた。
「この前は、急だったのに仔猫を預かってもらって、ありがとうございました」
幸次は深く頭を下げた。ほとんど直角の姿勢だ。
「そんなにかしこまらなくても」冱子は肩をすくめるようにして、小さく笑った。
彼女の言葉に少し気が抜けて、幸次は「あ、はい」と、うながされるままにソファへ腰を下ろす。
冱子も、丸椅子を引き寄せて向かいに座った。
「私は当然のことをしただけよ。むしろ、頼ってくれてありがとう」
先日、幸次は飼い猫
花遊
の誕生日に思いがけぬハプニングに遭遇した。
花遊が仔猫を連れてきたのだ。子どもというよりは生まれたて、まだ目もひらいてないような赤ちゃん猫だ。白黒茶色の三毛猫だった。
まさか花遊の子? とたじろぐ幸次に、『ちげーし!』と花遊は毛を逆立てた。放置されているのを発見したのだという。人間に捨てられたものか、母猫による育児放棄かはわからない。見捨てることもできず、急ぎ保護したとのことだった。
もちろん花遊に、仔猫について明確なビジョンがあったわけではなかった。それは幸次も同様で、仔猫用の道具もないため世話のしようもない状態だった。
このとき、幸次がまっさきに思いうかべたのが冱子だった。すぐに幸次は『ねこのしま』に連絡し、仔猫を預かってもらって急場をしのいだのである。
「母さん……母から聞きました。俺が猫を保護した話を聞いてすぐ、母は『ねこのしま』に連絡して、家で引き取る話を進めていてくれたって」
「そうね。役に立てて本当によかった」
花遊が保護したときは衰弱していた仔猫も、すぐに元気を取りもどした。見つけたのが早かったのはもちろんだが、季節も幸いしたといえよう。一か月も前であればそれこそ真冬だ。取り返しのつかないことになっていたかもしれない。
「猫は『梅』って名前をつけられて、いまは実家で父と母が世話してます、って対応していたのは鈴木さんだから知ってますよね」
「ええ。でも名前を聞いたのはいまがはじめて。梅ちゃん、とてもいい名前ね」
冱子は、北極海に浮かぶ氷山のようだった。凜としたたたずまいで、容易には近づけない。
けれど幸次は知っている。
彼女の奥には、たしかに温かなものがあるのだと。
いまこのとき――猫の話をしている彼女の顔には、冷えた空気の向こうにふわりと舞う冬鳥の羽毛のような、やわらかな温もりが宿っていた。
なのでほっとして、どこか気軽な口調で幸次はつづけた。
「もう少し大きくなったら、梅には俺の家に来てもらうつもりです」
冱子の目が険しくなった。はっきり不快感をにじませたわけでもないのだが、声に強張りがあった。
「多頭飼いになるのね、楽ではなくてよ」
さっとオーロラのカーテンが引かれたような気がした。きめ細かな光の粒子は美しくはある。だがその半面、冷たくて厳しい。
「わかっているとは思うけど、部屋の猫が二匹になると花遊ちゃん……先住の子にはかなりのストレスになるから。ストレスのあまり体調を崩してしまうこともあるくらいで。といっても、梅ちゃんを助けたのは彼だそうだから、そのあたりはあまり心配しなくてよさそうね。きっと面倒見てくれるはず」
でも万条君、と冱子は語調を強めた。
「あなたの負担だって単純に二倍ではすまなくなる。はっきり、それ以上になるという覚悟だけはしておいて。出費、つまり食費や病院費用だけの話じゃない。掃除の頻度、消耗品の交換回数、トイレスペースの確保など、日常を維持していく手間はかなり増えることになるから。あってほしくはないけれど、地震のような自然災害がおこったときの避難方法も考えておいたほうがいいと思う。万が一のとき、とっさに花遊ちゃんだけ抱いて逃げるわけにはいかなくなるのよ」
「は、はい」
もちろんです、と幸次は答えた。あらためて問われると緊張するが、それでも単に、家族が増えて嬉しいというだけの話ではなくなると考えてはいたし、梅を迎え入れる準備は少しずつではあるが進めていた。ただそれが、『覚悟』と呼べるほどのものかと問われれば、自信をもっての回答はできそうもなかった。
「ごめんね、水を差すようなこと言って。でも、たとえ悪者になっても言わずにはいられなかった」
冱子はそれ以上言葉をつがなかったが、幸次にも容易に想像はできた。きっと冱子は、多頭飼いに失敗して猫を捨てた飼い主や、飼育崩壊にいたった家庭をたくさん見てきたのだろう。
梅を飼うことは、梅の命に責任をもつということ……もちろん、花遊への責任に加えて。
軽く考えていたわけではないが、気の引き締まる思いだった。
「だけど」と言ったとき、冱子の声はもっとずっとやわらかな色調を帯びていた。「万条君ならできると思ってる。梅ちゃんは私にも縁のある子、万条君のおかげで縁ができた。だからお願いね、心からそう言いたい」
「はい!」
また幸次は立ち上がりそうになったが、
「よしてよ。やる気は伝わってるから」
苦笑気味の冱子に制された。
鈴木さん、こんな表情もするんだ。
幸次は息をついた。当たり前だといえば当たり前かもしれないが、なんだか思わぬものを目にして得したような、そんな気持ちにもなった。
<< もどる
1
2
3
4
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
続・『ねこのしま』にて
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年02月08日
参加申し込みの期限
2025年02月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年02月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!